貧困によるホームレス問題に取り組む非営利団体 「ニューストーリー」は、
貧困層に手頃な価格の住宅ソリューションを提供する財団 「エチャレ」、テキサス州オースティンに本拠を置く建設技術スタートアップ 「ICON」等と共同で展開中の3Dプリント住宅供給プロジェクト「世界初の3Dプリント住宅コミュニティ」の近況として、
メキシコ南部にあるタバスコ州に建設中の世界初の3Dプリント住宅コミュニティとして建設された家を公開しました。
メキシコの貧困地域で3Dプリンターの住宅街完成なるか⁈
メキシコのタバスコ州で、巨大な3Dプリンターでつくった住宅2棟が完工しました。
世界初となる「3Dプリント住宅街」が間も無く現実的となります!
担当している業者によると、今年中に50棟の新築住宅を建設して、今まで地元住民が木材や金属などの資材で自作した家に置き換えたいとのことです。
入居予定の家族が暮らすのはメキシコ南部タバスコ州の地震地帯で、洪水も頻発していました。
そのため、住宅の設計に当たっては、耐震性を備え、豪雨に見舞われても乾燥を保てる作りにすることに注意しました。
今回の建設を手掛ける非営利団体は、「ニューストーリー」といい、ニューストーリーのブレット・ハグラー最高経営責任者(CEO)兼共同創業者によると、タバスコ州の農村に暮らす人々の経済状況は楽ではなく、住まいは手作りで雨季に雨が降ると水位が膝まで浸水してしまうといいます…。
ニューストーリーとは?
ニューストーリーは、中南米における仮設住宅を必要とする世帯の支援に取り組んでいます。
2014年の創設以来、ハイチ、エルサルバドル、ボリビア、メキシコなどに2,700戸以上の住宅を建設してきましたが、3Dプリンターを使った住宅建設プロジェクトは初めてです。
3Dプリンター技術の開発は提携先の建築技術会社「ICON」が担当。 今回、家の製造に使われたプリンターは「バルカン2」といいます。バルカン2はICONが手掛けました。
入居世帯の募集については、メキシコの非営利団体「エチャレ」が協力しています。
現場では巨大プリンターから乾燥時に固まるコンクリート素材を排出し、1層ずつ壁をつくっていく方式を取っており、24時間体制でプリンターを稼働させた場合、数日で一度に2棟を建設できます。
驚くべきことが、このコンクリート素材は従来のコンクリートに比べて頑丈だということ!建物の基礎部分は耐震性を持たせるために補強してあります。
家の広さは約46平方メートルの屋内に寝室2つ、浴室1つ、リビング、キッチンを完備する充実ぶり。
一軒当たりの製造コストは4000ドル(約43万円)未満で、3Dプリンターは24時間体制で稼働するため、たった数日で2軒同時に着工可能。
この地域は地震が多発するため耐震性能も考慮。通常の建物より頑強だそうです。
床面積:46平方m、寝室が2つにバスルーム、リビング、キッチン完備。1軒ずつならもっと大きな家も建設可能。
周辺はこうした貧しい農村。
コストパフォーマンスとスピード効率は革命的であるとのこと。
この先3Dプリント住居が発展すれば、世界が変わると期待されています。
3Dプリント技術による住宅建設のメリットとは
従来の建築方法は作業が断片化されており、無駄が多く非常に長い時間を必要とします。また、高騰する人件費の問題、物流や廃棄物処理などに多くのエネルギーを消費しているのも現状。
これとは対照的に、3Dプリント技術には次のメリットがあるとされています。
- スピードの向上(工期の短縮)
- 建設中に発生する怪我や事故の減少、肉体的疲労の軽減
- 安価な材料によるコスト効率の高さ
- コンクリート材料による快適性とエネルギー効率
- 3Dプリンティングにより、連続した切れ目のない熱エンベロープが生成可能
- 1つの技術で、基礎や構造、断熱など様々な用途に適用可能
- 廃棄物がゼロに近い
- 高い設計自由度
世界の貧困のヒーローになるか?
国際NGO「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」の2015年の調査によると、適切な住居を持たない人の数は世界で約16億人に上ると言われています。
問題解決のための技術自体は既に存在するので、あとはこれを住宅弱者向けの家づくりに応用すれば、未来への大きな希望がもたらされるだろう。
建設用3Dプリンタで建設される住宅は約24時間で完成しますが、当然そのままでは住むことはできません。
同プロジェクトでは、土地の造成や基礎工事、屋根工事、ドアや窓などを含めた内装工事などの作業に地元の人を雇い、雇用機会も創出することを目的としており、産業の活性化によって貧困からの脱出を図ろうとしています。
新たな技術が世界の貧困を救うことができるのか、期待が集まります!