国外を医療目的で訪れる「医療ツーリズム」の市場が世界で急拡大している。主要国の高齢化や格安航空会社(LCC)など安い交通手段の発達により、メキシコやタイなどの渡航の人気が高まる。その中でメキシコは米国が主なターゲット。
米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が2018年に明らかにした調査では、医療ツーリズムの世界市場は16年時点で681億ドル(約7兆6千億円)だったという。21年まで年率13%で成長が続くと試算している。市場拡大の背景には高齢化がある。50年に4人に1人が65歳以上となる中国がアジア圏内を、アメリカがメキシコやコスタリカといった中米の需要をけん引している。また国内線で成長したLCCが国際線にも広がり、移動が手軽になっている。
2016年は世界で約1400万人が移動したとみられ、訪問先はタイ、メキシコ、ブラジルなど新興国が人気だ。医療レベルが比較的高いにもかかわらず、物価が安いため。治療費を含めた旅費は1人あたり約3千~1万ドルで、通常の観光より多い傾向にある。
メディカルツーリズムとは?
医療ツーリズム(メディカル・ツーリズム)とは、「医療を受ける目的で他の国へ渡航すること」。インターネットの普及や国際交通網、近年では特にLCCの発達を背景に拡大し、現在では世界約50ヵ国で医療ツーリズムが実施されています。
人々が求めるものは歯科治療、脂肪吸引や、不妊治療、整形外科手術、さらに「ガン治療」まで。メキシコにおけるガン治療が比較的安価であることがアメリカからの渡航が増えている要因です。母国では保険の関係で費用が高すぎて受けられないなどの背景を持った患者が多く訪れています。そのためにアメリカ人にとってすぐ隣のメキシコは人気のメディカル・ツーリズムの渡航先になっています。
メキシコにも医療滞在ビザ発行国で、医療滞在ビザは通常の観光ビザや滞在ビザと比べると取得が比較的容易にできるのもメキシコでのメディカルツーリズムが増えている理由の一つ。米国では多数の無保険者がいることに加え、雇用者側が医療保険の負担軽減のため従業員に医療費の低い海外での治療を推奨しており、「低コストの医療」を求める場合が多くなっています。
メキシコのメディカルツーリズムの特徴
メキシコでは、メキシコ観光局(Mexico Truism Board)によってメディカルツーリズムが推進されています。医療観光地域クラスターは、協調と競争力のある方法で、国際的な患者と高いレベルのサービスを提供し、医療観光関連事業者間のチームワークを促進するための手段として形成されてきました。
メキシコのメディカルツーリズムでは、 腫瘍学、整形外科、心臓、一般外科、形成外科や消化器のフィールド等において最高品質の医療サービスを提供出来ることを謳っている。現在、保健省は国際規格と同等の病院として、105の病院に対する認証を承認してきました。民間医療施設がモンテレイ市に多く設立され、アメリカを中心とした外国人が受診しています。健康診断、予防医療の他、高度医療サービスに加えて、肥満対策の胃バイパス手術が数多く行われているのが特徴です。
気になるコストは?
コストはアメリカの25~35%に抑えられるのもメキシコで医療を受診する大きな理由の一つです。
メキシコとアメリカでは実際の治療費はどれくらい差があるのでしょうか?アメリカでは歯の治療費は奥歯900ドルな一方、メキシコでは奥歯の治療は1本300ドルほどでき、割合にして約1/3です。
これは一例にすぎず、価格差については1/5-1/8と多様な表記がなされていますが、とにかく安いことは確かですね!
メキシコで安価なサービスが提供できる理由は、メキシコは物価や人件費が安いことに加え、アメリカの歯医者が入っている医療過誤訴訟対策の保険や、巨額の学生ローンを払う必要がない、というのもその大きな理由です。
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