メキシコの会計税務初級編:Facturaの見方と発行の方法について完全解説

メキシコの会計・税務で日本人が勘違いしがちな点の一つに、factura(ファクトゥーラ)の発行があります。

簡単に言うとfactura=invoiceなのですが、これを単純に請求書と理解してしまうと、少しややこしくなってしまうのです。例えば日本で、

領収書をお願いします。宛名は「上」で。

なんてことがあると思います。日本だったらこれは経費の為に手に入れたり、最悪のパターン、レシートでもなんとかなることもありますよね。(本当はダメですが、用途を証明できるので有効になる場合もあります)

これと同じことがメキシコでも通用するのか?

というと、全く通じません。この理解でいると、メキシコではトラブルに遭ってしまうので、今回はそもそもFacturaとは何なのか、発行方法などについて解説をしていきたいと思います。

そもそもFacutraって何?

Facturaとは、メキシコ政府(国税庁)が公認した請求書 兼 領収書の事です。

日本では領収書は紙でも発行されますが、このFacturaは全て電子版での発行(PDFファイルとXMLファイル)となるのが大きな違いです。

そして、Facrturaが発行されないと、経費計上ができません

(実際にはできることもあるらしいがほぼ不可能)

つまり、領収書の考え方が日本と全く異なることを意識しておきましょう。

クレジットカードの利用履歴やレシートなどはメキシコでは「領収書」としては認められず、経費計上はできません。ただの金額支払いの証明、もはや何も意味をなさないのです。

ではなぜFacturaが発行が必要なのでしょうか?

それは、メキシコの会計・税務が全て電子化されているからです。

さらに、取引情報がSAT(国税庁)と連動しており、店がFacturaを発行した時に、下記の情報が国税庁に自動的に報告されます。

  • 発行日時、発行番号
  • 発行元、発行先情報(名前・住所・RFC)
  • 金額

このように、Facturaは、誰が、いつ、どこに、何を、いくらで販売したかの情報が書いてあり、それがSATに送信されます。そこでSATはその取引をもとに税金(IVAなど)の計算を行います。

IVAというのは、間接税の事で、日本でいう消費税です。正式名称はIMPUESTO AL VALOR AGREGADOと言い、付加価値税と訳せます。現在税率は16%です。この内容もFacturaに記載されています。

つまり、全ての会計処理はこのSATシステムを介して行われるので、Facturaを発行していないと、正しい税金管理ができなくなってしまうのです。

仮に、Facturaを発行していないただのレシートを経費として計上しようとしてしまうと、SATがその取引を把握していないのに経費計上しようとしてるとみなされるため、アウトなのは想像がつきますよね。

RFCって何?

今、説明の中でRFCという言葉が出てきましたが、RFCとはいったい何なのでしょうか?

正式名称はRegistro Federal de Contribuyentesと言い、メキシコの納税者番号の事を言います。

日本でいうマイナンバーようなものです。RFCには、個人のRFCと企業のRFCがあり、登録時にRFCが付与され、この番号をもとに会社設立や口座開設など必要な手続きを取ることになります。

法人のRFCは12桁で構成されています。

最初の3桁はアルファベットで会社名、次が設立年月日、最後がランダムの文字です。

CFDIって何?

それはCFDIとは何なのでしょうか?CFDIは正式名称はComprobante Fiscal Digital por Internet、インターネットを通じたデジタル税務証憑という意味になります。

よくわからないですね。

簡単に言うと、デジタルの請求書兼領収書のようなものです。

Facturaの見方について

それでは、簡単ですがFacturaの例(当方が発行側の場合)を作成しましたので見てみましょう。

Facturaの実際のレイアウトは、使用している会計ソフトによって異なります。

本来であれば、この下にQRコードなどが記載されていますが、自作なので割愛しました。

まずは、緑枠の部分についてみていきたいと思います。

【左側】 企業ロゴが入ります。

【真中】 会社情報について記載されています。

  1. MEXINAVI S.A. DE C.V. … 社名
  2. MNV211231000     … RFC(納税者登録番号)
  3. 登記住所
  4. 郵便番号
  5. General de Ley Personas Morales (601) … 証憑の種類

などが記載されます。

⑤の証憑についてですが、法人上の体制によって変わります。今回は例として、番号601、General de Ley Personas Moralesとしました。601の税制は、ほとんどの企業が該当するため、最も広く使われている制度の一つです。

【右側】 Facturaの情報が書かれています。(一例)

  1. No. de Factura … Facturaナンバー
  2. Folio … 税務証憑
  3. Fecha de emisión … 発行日時
  4. Fecha de timbrado … 押印日時
  5. No. de certificado SAT … SATの通し番号
  6. Moneda Pesos (MXN) … 取引通貨(外貨の場合は他の箇所に為替を記載)

続いて、黄色部分についてみていきましょう。

【上部】 取引先の会社情報について記載されています。

Receptorは請求書の受け取り側(支払う側)の情報が記載されます。

【中部】 取引の明細が書かれています。

  1. Clave … 取引番号
  2. Concepto  … コンセプト
  3. Cantidad … 数量
  4. Unidad de medida …取引内容
  5. Precio unitario … 単価
  6. Importe …金額

そして、その下には振込先の情報が書かれます。今回は例として、メキシコの銀行のBancomerの情報を記載しました。

その左側には、金額がスペイン語で記載されています。今回はSeis mil trescientos ochenta Pesos con 00/100 MXNと記載されます。

「con 00/100」というのは、小数点第二位まで書かれている状態で、例えば今回6,380.88ペソだったらSeis mil trescientos ochenta Pesos con 88/100 MXN となります。

また、その横にはIVAについて書かれています。IVAはメキシコ国内での商取引に対しては16%、メキシコ国外への輸出取引に対しては適用されません。ただし、国外への輸出取引においても源泉徴収は適用されます。

【下部】 取引の明細が書かれています。

  1. Lugar de expedición … 発行場所。郵便番号が書かれる。
  2. Método de pago  … 支払方法
  3. Forma de pago … 決済方法
  4. Uso del CFDI …Factura受領者の会計処理方法 

Método de pagoは支払方法について書かれます。支払方法には、

  • Pago en una sola exhibición(PUE)
  • Pago en parcialidades o diferido(PPD)

の2つがあり、簡単に言えばPUEが先払いで、PPDが後払いです。

少し詳しく言うと、PUEは「現金での支払い」のみを指し、レシート発行時に支払いが行われる場合を指すと記載され、PPDは「分割払いまたは後払い」という表示は、取引のために領収書が発行され、残高の合計が1回の支払いまたは数回の分割払いで決済される場合に使用されます。

参考情報:https://blog.ekomercio.com.mx/pago-en-una-sola-exhibicion-cambia-en-la-factura-3.3

Forma de pagoについては、決済方法が書かれています。今回はTransferencia electrónica de fondos (03)、訳すと電子送金です。

最後にUso del CFDIです。メキシコの電子インボイス形式がVer.3.3に更新(CFDI Ver.3.3)され記載が必要になりました。

Facturaを受け取った側の会計処理の勘定項目が書かれており、Gastos en general(G03) 、訳すと「一般的な費用」という意味になります。

Facturaの取得方法について

Facturaの取得方法には複数あります。

Facturaは電子データですが、その上記情報が印刷された紙で受け取ることができます。このFacturaの入手方法は、統一した方法がないため、複数の方法を頭に入れて入手できるようにしましょう。

codigo de facturaが必要になります。買い物をしたときにその数字をもらえます。(レシートに書いてあります!)

その場で発行してもらう

Facturaは電子発行ですので、ある費用に対してFacturaを発行する際は、発行する際に必要なRFC、会社名、メールの送り先を伝えるとその場で発行してもらえます。

レストランなど、その場で会計を済ませた場合は、支払方法はPUEになります。

場所によっては、後日メールで送るというパターンもあるので、なるべく紙でfacturaをもらっておけば経理にまわすと処理を行う事ができるので、紙でももらっておきましょう。

自分でFacturaデータを取りに行く

次に、自分でfacturaデータを取りに行く方法についてです。店舗で購入した際、facturaを出してほしいと依頼すると、レシート(recibo)にデータが記載されていてそこから入手するよう言われることもあります。

また、インターネットでサービスを購入した時も、Facturaを発行することができます。

例えば航空券をANAで購入した場合のFacturaの発行方法についてはガイダンスが出ておりますので、下記リンクよりご参照ください。

他の例として、amazon.mxでもFacturaを発行させることができます。

発行のためには、購入者アカウントでRFC登録が済んでいること、メキシコ国内からの発送であること(RFC所有の販売者)が条件です。

CFDIが必要な場合は、販売者に直接連絡して依頼する必要があります。海外の販売者は、メキシコの税制に登録されていない場合、インボイスを提供できません。

最後に

最後までお読み頂きありがとうございました!

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渡邉海也
メキシコシティに留学をしていましたカイヤと申します。スペイン語、アグリビジネス、移民問題をUNAMで学び、空手をメキシコでも稽古をし国際交流、そしてPinbox S.A. de C.V. でインターンという三本立てで生活をしていました。メキシコ滞在を通して感じたことを皆様にシェアできたらと思います。よろしくお願いします!