みなさんこんにちは。
メキシコで人気のスポーツと言えばサッカーと思う人が多いと思いますが、実はサッカーだけでなく多くのスポーツがメキシコでは盛んです。
2022年の冬季五輪では、スケート種目にメキシコ人選手が出場したりと、多くのスポーツに対する国民の関心も増しているように思えます。
一方日本で人気なスポーツは野球。最近はテレビ中継も減りその人気は他のスポーツに持っていかれてしまっているような印象も受けますが、それでもスポーツの中でトップレベルの人気を誇ります。
野球と言えばもちろんアメリカ。メジャーリーグという言葉は野球に触れていない人でも耳にしているのではないでしょうか?
実はあまり知られていませんが、メキシコにも野球リーグがあります。今まではオフ中に日本人選手がメキシコで修業を積んでいたこともあったのですが最近は日本人選手がメインシーズンに移籍をし話題になっています。
一昨年2019年の春にメキシカンリーグの選手主体の代表チームが侍ジャパンのテストマッチのために来日し、その秋のプレミア12では、3位決定戦でメジャー予備軍の精鋭を集めたアメリカ代表を破り東京五輪の出場権を手にするなど、日本のファンにもなじみ深くなってきた のではないでしょうか?
そこで今回はメキシコの野球、メキシカンリーグについてご紹介していきます!
メキシカンリーグ(LMB)とは?
メキシカンリーグはスペイン語ではLiga Mexicana de Béisbol、通称LMBです。LMBはメキシコのプロ野球組織で、設立は1925年。実はとっても歴史があるプロ組織なのです。
サッカーのリーガMXは設立は1943年。実はメキシコのサッカーの歴史より古いのです!
現在は、メジャーリーグの傘下組織となり、AAA(トリプルエー:メジャーリーグの下のマイナー組織)に所属していますが、メジャーの上部球団はなく独自のリーグ運営を行っています。
正確には、メジャーのAAAリーグには参加していません。メジャーからAAAレベルと認定を受けているようなイメージです。
シーズンは春から秋。5月に始まり8月にレギュラーラウンドを終え、9月中旬までプレーオフを戦う国内で一番長い日程です。
かつてはメジャーリーグに対抗しようとしていた
実はこのLMB、昔はかのメジャーリーグに対抗すべく、メジャーの選手を引き抜いてレベルを格段に上げようとしたこともありました。当時はメジャーリーグのほかに、二グロリーグがあった時代。この2代柱に次ぐ存在になるべくメキシカンリーグを盛り上げようとしていました。
人種差別が蔓延っていたアメリカで行われていたアフリカ系アメリカ人のリーグ。1945年頃、メジャーに選手が引き抜かれるまで高いレベルのリーグとして存在していた。
かつてのメキシカンリーグは、メジャーや二グロリーグでプレイしていたアメリカ人やキューバ人選手が集まり、メジャーと「野球戦争」とよばれるほどの選手の引き合い合戦を行っていました。
しかし選手らは、メジャーと比較しての設備や環境の違いに順応することができず、メジャー選手の定着はしませんでした。結局、同じことが再び起こることを危惧したメジャー側がメキシカンリーグをメジャー側に組み込むことにし、現在の組織となっています。
現在では、MLBの経験のある選手がLMBに移籍し、主力として活躍しています。
メキシカンリーグの構成
現在メキシカンリーグは北地区と南地区の2リーグ構成、それぞれ9チームが所属しています。
- モンクローバ・スティーラーズ(英名:Monclova Steelers、西名:Acereros del Norte )
- ラグナ・ユニオン・コットンファーマーズ(英名:Laguna Union Cotton Farmers、西名 Algodoneros de Unión Laguna )
- ドゥランゴ・ジェネラルズ(英名:Durango Generales、西名: Generales de Durango )
- グアダラハラ・マリアッチス(英名:Guadalajara Mariachis、西名: Mariachis de Guadalajara )
- アグアスカリエンテス・レイルローダース(英名:Aguascalientes Railroaders、西名: Rieleros de Aguascalientes )
- サルティーヨ・サラペメーカーズ(英名:Saltillo Sarape Makers、西名: Saraperos de Saltillo )
- モンテレイ・サルタンズ(英名:Monterrey Sultans、西名 Sultanes de Monterrey )
- ドスラレドス・オウルズ(英名:Dos Laredos Owls、西名: Tecolotes de Dos Laredos )
- ティフアナ・ブルズ(英名:Tijuana Bulls、西名: Toros de Tijuana )
レオン・ブラボーズ(英名:Leon Bravos、西名: Bravos de León)
メキシコシティ・レッドデビルズ(英名:Mexico City Red Devils、西名: Diablos Rojos del Mexico)
ベラクルス・イーグルス(英名:The Veracruz Eagle、西名: El Águila de Veracruz)
オアハカ・ウォーリアーズ(英名:Oaxaca Warriors、西名: Guerreros de Oaxaca)
ユカタン・ライオンズ(英名:Yucatan Lions、西名: Leones de Yucatan)
タバスコ・キャトルメン(英名:Tabasco Olmecs、西名: Olmecas de Tabasco)
プエブラ・パロッツ(英名:Puebla Parrots、西名: Pericos de Puebla)
カンペチェ・パイレーツ(英名:Campeche Pirates、西名: Piratas de Campeche)
キンタナロー・タイガース(英名:Quintana Roo Tigers、西名:Tigres de Quintana Roo)
打者のレベルが高い!
メキシカンリーグにおける最大の特徴は打者優位なリーグといわれています。それは、標高の高い都市をホームスタジアムにしているチームが多く、気圧の関係で打球が飛びやすい環境にあると考えられているのだとか。
また、投手は技巧派が多いのが特徴。バッターの能力が高いため、速球で投げても打ち返されてしまうのだとか。
LMBでプレイしてた元DeNAの久保投手はこのように語っていました。
「身体能力、対応力は凄い。メキシコリーグの選手は長距離砲より3番、5番タイプの中距離砲が多い。日本でいえばマッチ(ソフトバンクの松田宣浩)がたくさんいるイメージ。それでも、厳しいコースを軽々とホームランにしてくるのは、技術があるから。右打者の内角のきわどいコースでファウルを打たせても、次に同じコースに投げたら、体をコマのように軸回転させて、打球にスライスをかけてホームランにしてくる。NPBでは松中(信彦、元ソフトバンク)さんや真中(満、元ヤクルト)さんが得意にしていた打ち方で、なかなか真似できない」
https://www.news-postseven.com/archives/20191226_1515934.html?DETAIL&from=imagepage
メキシカンパシフィックリーグ(LMP)とは?
そしてメキシコにはもう一つ野球リーグがあります。その名はメキシカンパシフィックリーグ(Liga Mexicana del Pacífico、LMP)です。
LMPは簡単に言うと、春~秋に開催されるLMBと異なって、秋~冬に開催されるウィンターリーグです。 そのためウィンターリーグといわれると、基本このLMPを指します。 現在10チームが所属しています。カリビアンシリーズに参加しているのは、LMPで優勝したチームなのです。
ラテンアメリカの国際野球大会。各国・地域の国内ウィンターリーグを勝ち上がったチームが毎年2月に集い、ラテンアメリカ王座をかけて争う。
気になるLMPのレベルですが、実は先述のLMB以上といわれています。レベルや人気はLMPの方が上といわれていますが、その理由はLMP出身の選手がメジャーでも活躍しているということ。LMPはウィンターリーグのため、夏のシーズンにアメリカをはじめとルス外国でプレーする選手が戻ってくるためです。
最近の事例では、レイズのランディ・アロザレーナ外野手やドジャースのマックス・マンシー内野手などが挙げられます。
また、メキシコは上述のカリビアンシリーズではドミニカ、プエルトリコに次いで3番目に優勝が多い国です。メキシコの隠れた野球人気がわかります。
国名 | 優勝回数 |
---|---|
ドミニカ共和国 | 21 |
プエルトリコ | 16 |
メキシコ | 9 |
キューバ | 8 |
ベネズエラ | 7 |
パナマ | 2 |
コロンビア | 1 |
ただメキシコ国内ではこのLMPは太平洋湾岸を中心に展開される地方リーグという認識で、全国展開している夏のLMBがメキシコのトップリーグという扱いになっています。
メキシカンリーグで奮闘する日本人選手紹介!
さてここからは、LMBに移籍した日本で活躍していた選手を紹介していきたいと思います。
久保康友(元DeNA)
レオン・ブラボーズ(2019年)
26試合に登板し、8勝14敗、防御率5・98の成績を残す。この年はオールスターに選ばれた上に154三振を奪い、リーグ最多奪三振のタイトルを獲得
中村勝(元日本ハム)
グアダラハラ・マリアッチス(2021年)
9試合に登板、8勝0敗、防御率3.25、46奪三振の成績を残し、最多勝と最高勝率のタイトルを獲得。マリアチスのチーム自体も、参入1年目で北地区リーグ優勝するなど大活躍だった。
メキシコでは大谷翔平より有名といわれるほどの話題を呼んだ。2022年はマリアチスは退団し、オリックスのテスト受験予定。
小川龍也(元西武)
モンテレイ・サルタンズ(2022年~)
ドラフト2位で中日に入団。2018年に西武に移籍すると、プロ初セーブを挙げる。登板数は38試合に留まった。2勝1敗3ホールド、防御率2.10。
2021年で西武を退団し、メキシコに活躍の場を移す。
乙坂智(元DeNA)
メキシコシティ・レッドデビルズ(2022年~)
2017年にはウィンターリーグのヤキス・デ・オブレゴンの一員として、27試合に出場。115打席に立ち、リーグの首位打者を上回る打率.410、OPS.967、8試合連続安打などの好成績を残した。2021年に横浜DeNAを退団。メキシコに活躍の場を移す。
また、2020年には元巨人の高木勇人がユカタン・レオーネスと契約を結び話題を呼んだが、新型コロナのため、メキシカンリーグはシーズンをキャンセルとなりメキシコでの登板はかないませんでした。。
【番外編】バレンティン(元ヤクルト)
サラぺロス(2022年~)
日本では11年からヤクルト、20年からソフトバンクに所属し、通算1104試合で301本塁打、1001安打、794打点、打率2割6分6厘だった。
13年には60本塁打を放ち、日本プロ野球のシーズン最多記録を更新。本塁打王3回、打点王1回、最高出塁率を2度獲得している。
お久しぶりです。2019年にメキシコに来ていた高木勇人選手ですが、今年はベラクルスのアギラスで戦います。現在はまだキャンプ中で、4月22日金曜日開幕です。今季もコロナの影響で変則日程です。