みなさんこんにちは。メキシコは死者の日で盛り上がっていることかと思います。
2022年の死者の日の情報はこちらから
今や死者の日は世界中で広く知られているメキシコを代表するイベントですが、この伝統的な死者の日の儀式は非常に多彩で、中には驚かせるものも少なくないのです。
メキシコにはそんな死者の日の行事の一環として、死者の骨を掘り起こして綺麗にする町があるのを知っていましたか?
そこで今回は死者の日にまつわる不思議な風習を持つある町をご紹介したいと思います。
ポムチュ(Pomuch)の紹介
こちらの町の名前、聞いたことがある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
ポムチュ(またはポムチ)はメキシコのカンペチェ州にある町で、州の北部、San Francisco de CampecheとMéridaを結ぶいわゆる王の道)(camino real)に位置し、エセルチャカン(Hecelchakán)という自治体に属しています。カンペチェ市から北東へ50kmほど行ったところにあります。
人口は9,607人です。Hecelchakán自治体内のすべての町の中で人口数では第2位。地図で見ると分かるように、ポムチュは海岸から少し離れていますが標高は8mです。
Hecelchakánという名前は、マヤ語のhelel(サバンナ)とchakan(休息)に由来しています。
かなり変わった死者の日の風習
ポムチュで行われている不思議な風習とは、死者の日に死者の骨を掘り起こし綺麗にすること。この風習は亡くなってから3年後に行われます。お骨をきれいにするだけでなく、白い布で包み木箱に収めた状態で墓に戻すのです。
どうして3年なの?と思ったのですが、どうやら骨に皮膚が付着したままなのでそれ以前に洗うことは不可能なんだとか。
この儀式は「Choo Ba’ak」とも呼ばれ、少なくとも150年以上前から村で行われてきました。
Limpieza de los Santos Restos(聖遺物の掃除)とも呼ばれているようです。
この習慣では、死者の親族が死者の骨を掘り起こし、きれいにして、この日のために特別に刺繍された新しいナプキンで包み、墓に戻し、食べ物や飲み物で伝統的な供養をします。
遺骨の清掃は死者の日のシーズンの11月1日・2日に行われるのでなく、10月最終週から始まります。骨をきれいにするために埃や虫の跡を残さないよう、ブラシや雑巾などの道具が使われ、ピンセットで骨の一本一本を細かく掃除するのは家族ですが、掃除をするために雇われる人もいます。
洗浄後、遺骨は一般的に白地に名前と花の刺繍が施された布に入れられ、完全に覆われるように包まれて、お墓に納められます。お墓には、敬意と愛情を込めて自然の花とろうそくが飾られ、故人の道を照らしています。
この時の白い布はLe Kéex Nokと呼ばれ、これが死者の衣装になると信じられています。
マヤとキリスト教の文化の融合
カンペチェにおける死者の日は、Hanal Pixánとして祝われます。これは、万聖節または死者の日という意味で、ユカタン半島のマヤ地方では「魂の祭り」として知られています。
マヤ地方における宗教事情が絡んできており、マヤ独自の文化とキリスト教カトリックの文化が混ざり合った結果、亡くなった人の魂は、10月最終日から11月1日(子供の魂)、11月1日から2日(老人の魂Nohoch Pixán)の間に私たちの間にいる許可を得られると信じられているそう。
Hanal Pixánの中でも現代まで深く文化として根付いているのがこのChoo Ba’akなのです。
最後に
マヤ文化に由来するこの伝統は、2017年にカンペチェ州の文化遺産に指定され、この世を去った人々を偲ぶことへの敬意と関心を表しています。奇妙に思えるかもしれませんが、これは彼らのアイデンティティの一部であり、故人への敬意と愛情を持って行われる伝統なのです。
なお、11月1日、2日はポムチ墓地は一般公開されません。墓地に親族がいる地元の人たちだけに公開される予定です。
間違いなく、この独特な伝統は、死者を偲ぶ方法が無限にあることを思い起こさせ、メキシコの原住民のコミュニティが持つ伝統の価値を見直すきっかけとなるのではないでしょうか?
みなさんもぜひポムチュの街を訪れてみてください!
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