メキシコ国内の新型コロナ感染状況
2020年、世界中で感染が拡大した新型コロナウイルス。メキシコもその筆頭。メキシコでの新型コロナウイルスはますます拡大しています。
メキシコ政府は当初、新型コロナウイルスのピークは2021年5月頃になるだろうと予想されています。しかし、現在も日に日に一日の感染者は増え続けています。
メキシコの新型コロナ感染者数
3月12日時点でのメキシコ国内の新型コロナ感染者数は2,1577,771人です。
感染者:2,1557,771人(昨日比+6,816人)
死亡者数:193,851人(昨日比+709人)
メキシコ国内での新型コロナ感染は2021年2月末から始まり、一年が経過しましたが未だに増えています。当時に比べ日毎の感染者数は+0.3%程度と少なくなってはいますが、感染者の増加はまだ収まりません。
しかし、2月上旬から、新規感染者の数は減り続けています。メキシコでは11月から感染者が急増しましたが、その波は現在は少し収まってきています。
2月初めの頃には新規感染者数は一日に10,000人づつ増えていたのに対し、現在では5,000人ほどとなっております。もちろん予断は許せません。
州別に見た、新型コロナ感染者数
州別の感染者数でみてみると、以下のようになっています。
上は州別の感染者数の数字です。これを見ると、メキシコシティが異様に多いことが分かります。
3月12日時点での、感染者数トップ5を見ていきましょう。
- メキシコシティ 感染者数:581,406人
- メキシコ州 感染者数:224,881人
- グアナファト州 感染者数:123,016人
- ヌエボレオン州 感染者数:117,468人
- ハリスコ州 感染者数:80,369人
世界での新型コロナの状況と、メキシコで確認された変異株について
メキシコは、感染者数でみると世界で13番目に多い国で、死者数でみると世界で3番目に多い国です。
感染者数の数はメキシコでは大きな変動はありませんが、世界で見ると、「ブラジル」、「ロシア」の感染者が増え順位に変動が起きました。インドでも死亡者数が増えている現状が続いています。
また、3月12日現在、全世界での感染者数は1億2,000万人となっています。メキシコの隣国であるアメリカは新型コロナの感染者数が世界で一番多い国です。そんなアメリカでは中西部を中心に感染拡大の第3波がきましたが、感染者増加の波は1日の新規感染者が30万人だった1月10日をピークに、現在は6万人ほどにまで落ち着ています。(落ち着いているといえるのか分かりませんが…)
また、アメリカのバイデン大統領は3月11日、新型コロナウイルスの影響を受けた国民への支援を目的とした1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法案に署名し、同法は成立し、経済的にもアメリカが復興に向けて本腰を入れることが分かりました。
また昨今、ヨーロッパでも再拡大が勢いを増しています。イギリスを発端に始まった変異種。現在、イギリス、ナイジェリア、日本、韓国、そしてタイをはじめとした多くの国でも感染が確認されています。この変異種は感染力がより高いとされるため、既に50か国以上が英国に対する渡航制限を導入しています。
イギリス変異株 VOC | 南アフリカ変異株 501Y.V2 | ブラジル変異株 P.1 | フィリピン変異株 | |
報告された国 | 111か国 | 58か国 | 32か国 | 2か国 |
感染力増加 | ○ | ○ | ○ | ○ |
免疫逃避の強さ | × | ○ | ○ | ○ |
感染性の強さ | 25~40%増加 | 50%増加 | 1.4~2.2倍増加 | 不明 |
重症化リスク | 死亡率64%増加 | 不明 | 不明 | 不明 |
ワクチン効果 | 不明 (一部の株で可能性あり) | ワクチン効果低下 | 従来のウイルスより25~61%増加 | 可能性あり |
現在、メキシコで感染が確認されている変異株は、「イギリス変異株」と「ブラジル変異株」です。
イギリス変異株は従来のウイルスよりも感染力が最大40%増加し、また重症化もしやすいようで、ブラジル変異株は「免疫逃避」と呼ばれる変異を持っており、過去の感染によってできた免疫から逃れる可能性が指摘されています。
メキシコの一日あたりの新規感染者数
上のグラフはメキシコ国内の新規感染者数です。第一波の新規感染者数のピークは7月~8月で、第二波の新規感染者ピークは11月~1月でした。(オレンジ丸部分)
今まで新規感染者数が6000人を超えていたのは8月ごろまででしたが、10月にはいって新規感染者数が6000人増える日も出てきています。そして感染者は急に増えだし、1日に10,000人を超す日が出てくるようになりました。
1月ピーク時には一日あたりの新規感染者数が17000人ほどでしたが、3月現在ではおよそ7,000人/日と、第二派と呼ばれる11月前の水準にまで下がっています。
メキシコ国内のワクチン接種状況について
2020年12月24日より新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。
メキシコ国内では、最初に米国ファイザー社とドイツのビオンテック社の共同開発の抗新型コロナウイルスワクチンが使用されています。その後、ロシアガマレヤ国立疫学・微生物学研究センター産、中国康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)産のワクチンが使用もされ始めました。これは、薬事の当局にあたるCOFEPRISが緊急使用の承認をしたものです。
さらに英国アストラゼネカのワクチンも追加で使用されています。
メキシコ国民は無料でワクチン接種ができます。
まず感染予防が急務となっているメキシコシティと、北部のコアウイラ州で、医療関係従事者が接種を受けます。
当初はその後、2021年2月からは60歳以上、4月からは50~59歳、5月には40~49歳、6月以降は一般に接種する予定でした。
メキシコシティでワクチンの接種状況について
2/15よりメキシコシティで新型コロナウイルスのワクチンの接種が開始されると発表がありました。今回対象になるのは、60歳以上の男女、かつCuajimalpa, Magdalena ContrerasとMilpa Altaに住む市民です。
実はメキシコシティは16の管轄区域(alcaldía) から構成されています。その中から今回は新型コロナウイルスワクチンの接種の第一弾として指定されました。
新型コロナウイルスのワクチン接種は国内で進められており、ついに首都でも2月15日より開始されました。メキシコシティの発表によると、第一弾に挙げられたのは Cuajimalpa, Magdalena Contreras と Milpa Alta の3つの管轄地域。
その後、Azcapotzalco、Iztacalco、Magdalena、Miguel Hidalgo、Tláhuac、Xochimilcoでもワクチン接種が始まっています。
接種は、それぞれの会場で午前9時から午後8時まで予定されています。その中で、それぞれ父方の苗字のアルファベットによって時間が定められており接種を受けることができます。
年齢を証明する身分証明書と、指定された管轄地域に住むことを証明する書類を持参ください。
Al momento se han vacunado 18,763 adultos mayores de las alcaldías de Milpa Alta, Cuajimalpa y Magdalena Contreras. pic.twitter.com/dcsvmaYUEn
— Claudia Sheinbaum (@Claudiashein) February 15, 2021
実際、ワクチンの接種が始まっていますが、かなりの混雑をしているようで朝から並んでも午後に接種を受けているようです。
Una de las unidades de vacunación en Milpa Alta pic.twitter.com/VcyiOHvsQK
— Claudia Sheinbaum (@Claudiashein) February 15, 2021
グアナファト州でのワクチン接種について
3月より、グアナファト州でも新型コロナのワクチン接種が始まりました。こちらはサラマンカのワクチン接種の表です。
このほか、グアナファト、レオンなどでも接種が始まっています。
メキシコの新型コロナの信号情報について
メキシコでは6月より信号制度が始まっています。
メキシコ国内における活動再開の表現に信号を使用しています。各地域における活動再開について「信号情報」を導入。各地の「信号色」に基づいた規制解除が推奨されている一方、5月が続いてた衛生措置については引き続き実施されています。
(1)高齢者及び高いリスク(既往症等)を持つ国民の保護
(2)全てのレベルの教育機関の閉鎖
(3)100人以上が集まるイベント・集会の中止
(4)全てのセクターにおける移動を伴う労働の一時停止
(5)予防措置の強化
この指針は連邦政府による例示であり、最終的な措置は各州政府によるとのことで、各地域の状況に応じて決定される模様です。お住まいの地域の最新情報の収集・感染予防に努めるようにしてください。
3月15日~3月28日の信号情報はどうなる?
▼州別の信号状況はこちら▼
「赤色」(0州):該当州無し
「オレンジ色」(8州):メキシコ市、メキシコ州、モレロス州、オアハカ州、プエブラ州、ケレタロ州、タバスコ州、ユカタン州
「黄色」(21州):アグアスカリエンテス州、バハカリフォルニア州、南バハカリフォルニア州、コアウイラ州、コリマ州、チワワ州、ドゥランゴ州、グアナフアト州、ゲレロ州、イダルゴ州、ハリスコ州、ミチョアカン州、ナヤリット州、ヌエボレオン州、キンタナロー州、サンルイス・ポトシ州、シナロア州、タマウリパス州、トラスカラ州、ベラクルス州、サカテカス州
「緑色」(3州):カンペチェ州、チアパス州、ソノラ州
※在墨日本国大使館の配信メールより。
メキシコでの新型コロナ感染は、変異種も見つかり拡大しています。それに対し、今回は新規感染者数が減ったことを受けて、それぞれ信号は緩くなったように思えます。
メキシコシティも先月よりオレンジ信号に移行し、飲食店など22時まで営業できるようになりました。
黄色信号に指定された州では、高齢者など感染症リスクが高いとされている人々との接触をさけながら、全ての労働活動は許可されます。公園、博物館・美術館などの公共スペースの利用では、屋外活動は許可され、及び屋内活動は制限を設けた場合で許可されます。
今回黄色に移行されたその他の州は感染者数はばらつきはありますが、複数の要素によって今回「黄色」に移行されました。
信号の判定基準は、感染の増減傾向、入院患者の増減傾向、病床利用率、新規感染確定率などを基に判断すると発表されています。
また、州ごとにオレンジ信号であっても感染状況にはかなりの差があります。そのため、オレンジ信号であっても操業が許可されている産業等、州によって異なることがあるとのことですのでお気を付けください。
また、メキシコシティとグアナファト州は別の基準で信号制度を取り入れています。
メキシコシティの信号情報!
- メキシコシティの感染者数…583,698人 (昨日比+2,571人)
- メキシコシティの死亡者数…28,870人
メキシコシティの信号状態は現在オレンジ信号です。
メキシコシティのクラウディア・シェインバウム市長は新型コロナウイルスの感染を抑制しつつ経済・社会活動を再開していくメキシコシティの計画を発表しました。
先述の通り、メキシコシティは政府とは別の信号制度を導入しています。
メキシコシティの信号制度には病床の占有率を重視し色を決めています。メキシコ政府は一週間ごとの設定になりますが、メキシコシティの信号は
- 赤:病床利用率65%以上、あるいは過去2週間安定的に利用率が上昇
- オレンジ:病床利用率50%以上65%未満で、かつ過去2週間安定的に利用率が低下
- 黄:病床利用率50%未満で、かつ過去2週間安定的に利用率が低下
- 緑:病床利用率50%未満で、かつ少なくとも過去1カ月安定して利用率が低い
現在、メキシコシティの病床使用率は47%となっており、一時よりは余裕が出てきました。
オレンジ信号に変わったことの対応
- レストランは22時まで営業(テラス席のみ)
- 1テーブルでは最大5人まで
- 屋内のジムではマンツーマンのトレーニングが可能。他グループとは4mの距離を置く
- ボーリング場などの娯楽施設もオープンへ
- 屋内のプールでは2コースの間隔をあける
- 1回のトレーニングは最大40分まで
- 営業時間は午前6時から午後11時まで
- 教会はミサなしで午前7時から午後7時まで開放
- 必要不可欠でないショッピングセンターでは、23%の人数制限
その他、多くの変更点がありますのでご確認よろしくお願い致します。
グアナファトの信号情報
- グアナファト州の感染者数…123,016人
- グアナファト州の死亡者数…9,481人
グアナファト州では、現在黄色信号に指定されています。
グアナファト州では新型コロナの新たな感染者数、死亡数の減少度合い、重度呼吸機能障害による人工呼吸器の利用率、病床の利用状況に基づき総合的に判断し、毎週変更されるため、政府が発表した信号と異なる水準で動いていきます。
病床の総数2,365に対して、使用されている病床は422となっており、現在グアナファト州の病床占有率は17.8%となっています。
2021年1月時では、病床占有率は70%を超え、医療崩壊と呼ばれる水準にまで達していましたが、その後下落し現在は17%ほどとなっています!
信号の色に応じて活動が制限を設けていますが、経済活動に関して、政府が定めた不可欠な産業とは別に「サプライチェーン・バックアップ活動」の分類を設け、産業用・医療用の履物および制服および同サプライチェーン、リスクが低いサービス(士業など)、卸売業、ビジネスサポートサービス、レストラン・ホテル(宿泊)、小売業、ショッピングセンターの活動を信号の色に応じて段階的に認めています。
メキシコの入出国の状態について
日本入国時について
厚生労働省は、日本に帰国・入国する方による検査証明書の提出について、新たな措置を発表しました。
新たな検査方法が認められ、検査証明書の様式が変更されました。検査証明書の提示・誓約書の提出・質問票の提出が求められます。
検査証明書の必須事項について
- 出国前72時間以内に検体を採取し検査したもの
メキシコから米国経由で日本へ入国する場合、経由地(米国)出国72時間前からカウントし、検査証明書はメキシコにおいて入手したものでも可。
経由地(米国)に入国し、滞在する場合は、経由地において検査証明書を別途入手する必要がある。
- 所定のフォーマットであること。
- 所定のフォーマットの提出が出来ない場合は以下の条件を満たした任意のフォーマットによること。
- 人定事項(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)があること
- 検査手法(所定のフォーマットに記載されている採取検体、検査法に限る)、検査結果、検体採取日時、検査結果決定年月日、証明書交付年月日があること
- 発行元の情報(レターヘッド(ロゴ)、機関名、署名者の名前及び署名、(あれば発行元機関印影))があること
- 上記1~3が英語表記(併記)であること
スペイン語表記のみの検査証明書は不可となります
誓約書の提出について
誓約書の提出が求められます。(14日間の自宅等での待機、公共交通機関の不使用、LINEアプリ等での健康フォローアップ、地図アプリ機能等による位置情報の保存等、検疫措置上求められる措置に応じる内容。
誓約に違反した場合は氏名等の情報が公表されることがあります
メキシコ出国時について
メキシコ出国前には、ご自身の健康状態に関するアンケートへの事前登録が必須となっています。このアンケートには、登場する便、席も登録しますので、チェックイン後に行いましょう。
登録が完了するとQRコードが作成されます。提示を求められたときに空港係員に提示してください。
まとめ
メキシコ国内ではまだ感染者が増えています。
年末はメキシコシティの赤信号移行に伴って、レストランなどで対策がされていましたが、まだまだ感染者は増えている一方です。
年明け、どのようになっていくのでしょうか。
連邦政府や州政府の発表も変わってくることもありますので、日々の情報収集に努めましょう。
参考サイト:Google ニュース