メキシコでついに大麻合法化へ⁈詳細をご紹介|麻薬戦争への影響は限定的との見方も…。

メキシコで嗜好用大麻が合法化へ

2021年3月10日、驚くべきニュースがメキシコ、そして世界を駆け巡りました。

それは、メキシコの大麻規制法とそれに関連する保健法などの改定が下院でも可決されたというニュース。これによって、医療目的でない嗜好用としての大麻の合法化が現実となりそうです。

メキシコの下院は、大麻の娯楽的使用を合法化する法案を承認されたので、今後は上院で最終投票が行われ、可決される見通しです。

この法案が承認されれば、メキシコは、ウルグアイとカナダに次いで全国的に娯楽目的の大麻を合法化した世界で3番目の国となります。

そして、これにより、メキシコは人口規模で世界最大の大麻市場のひとつとなると言われています。そして何より、麻薬カルテルが横行していたメキシコで合法化されることも話題を呼ぶ一つの要因になっています。

仮に人口1億2千万人を超すメキシコで合法化されれば、人口規模では最大の大麻市場となるため、カナダや米国の外資系大麻栽培企業がすでにこの法案による市場機会の獲得の関心を寄せていると報道されています。

この大麻合法化法案は昨年11月19日に上院で可決されていましたが、下院は調査を理由に採決を延期していました。今回の採決にあたって下院でいくつかの変更が加えられたため、再び上院で審議される予定です。

最終的には上院を通過した後、合法化を支持しているロペス・オブラドール大統領を経て、正式に施行される見込みです。

▼メキシコの麻薬戦争についての記事はこちら▼

法案の詳細

今回の法案は、主にメキシコ大統領のオブラドール氏の国民再生労働党(MORENA)に属するオルガ・サンチェス・コルデロ上院議員とリカルド・モンレアル上院議員が2018年11月に提出した「大麻の規制と制御のための一般法」”Ley General para la Regulación y Control de Cannabis”という案がベースになっています。オルガ・サンチェス・コルデロ上院議員は現在、内務大臣を務めています。

メキシコの連邦議会の下院議員たちは、316票対129票でこの法案に賛成したため可決されました。

28グラムまでの所持が可能に

この法案では、許可を得た使用者は、個人使用のために28gまでの所持が認められ、大麻の苗を1人で6本、2人以上では8鉢まで自宅で栽培することができます。

ちなみに実際どれくらいの大麻が製造されるのでしょうか??

植物や栽培条件によって異なりますが、およそ1株で200グラムから2キロの収穫が可能だそうです。

自家消費の場合は免許が不要で、1世帯につき1つの許可を取得すればよいそうです。

ただ、許可なく28gを超えて所持をしていた場合、200gまでは罰金、200gを超えると刑事罰が科せられます。

保健省に属する連邦中毒依存症委員会(CONADIC:Comisión Nacional contra las Adicciones)が、ライセンスの付与と法律の遵守状況の監督を行います。

免許があれば販売、研究、輸出入もできる

ロイター通信によると、この法案では、大麻の栽培、加工、研究、輸出入に関するその他の許可も認められているそうです。これについては、国が免許を与え、CONADICが管理することになるとのことです。

また、2人から20人のメンバーで構成される小規模なマリファナ生産・流通・販売会社の設立も承認されました。それらの企業は、従業員一人につき4株、最大で50株の栽培・販売が認められます。

メキシコ政府は、マリファナの生産チェーンを規制する6種類のライセンスを発行します。これらのライセンスは、

  • 栽培からエンドユーザーへの販売まで商業目的の生産チェーン全体を対象
  • 生産チェーンのみ
  • 生産のみ
  • マーケティングのみ
  • 最終消費者への販売時点のみ

など、バリューチェーンの各フェーズで関わることができるようにライセンスが分かれるそうです。

子どもの使用や売買への関与はできない

この法案での対象者はメキシコ国内の18歳以上の人です。子どもについては、使用や売買は一切認められていません。

労働力も生産チェーンのすべての段階で禁止され、さらに大麻を販売する施設への立ち入りも禁止されます。

どうしてメキシコで大麻解禁が推し進められているの?

麻薬カルテルの資金源を断とうとしている

メキシコでは違法取引による莫大な富を背景に複数の麻薬組織(カルテル)が国内外に強い影響力を持ち、抗争や犯罪が相次ぐ「麻薬戦争」が長く続いており、毎年何千人もの人々が命を落としています。

歴代政権はカルテルの取り締まりに力を入れてきましたが、その取締りが解決に至ってないとロペス・オブラドール大統領は反対してきました今回の法案の可決を通して、大麻の違法取引を抑制し、組織犯罪や腐敗、暴力行為を阻止する狙いがあるといわれています。

ロペス・オブラドール大統領は、この法案が国内の強力な麻薬カルテルへの対策になると主張しており、MORENA党の議員たちはこの法律がメキシコの平和の実現に役立つと主張しています。

この大麻合法化によってカルテルの資金源=弱体化を図っていると言われていますが、実際は意味ないのでは…との批判も多くあります。これについては別の記事で触れたいと思います。

新たな税収にしたいという思惑も

今回の合法化にともない、IVAを始めとした課税が予定されていると言います。これによって、メキシコ政府の歳入が増加する見込みであり、メキシコ政府内の税収に一定の恩恵を与えることができるという見方もあるようです。

また、この合法化の結果生まれる麻薬の市場規模は大きく、多くの雇用が生まれる、ともしています。

ロペスオブラドール大統領は雇用や消費を増やして国家的に安定した成長を遂げることを政策のテーマとして活動を行ってきました。その中には貧困対策も含まれます。

今回の合法化は小規模農家や先住民が優先的にライセンスを取得できることが規定されており、その一環でもあるという見方をされています。

大麻解禁への批判的意見も

このように大麻を家庭で栽培する日がメキシコでは現実になってきている

しかし、この合法化について、国民の多くが反対しているようです。

ニューヨークタイムズが公表した最近の世論調査によると、国民の約3分の2がマリファナの合法化に反対しているようです。その理由は、大きく以下に分けられます。

  • 腐敗が逆に拡大するのではないか
  • 健康被害・より、子どもたちの手に渡りやすくなる
  • 麻薬カルテルは弱体化しない

メキシコでは、今まで規制を設けたり制限をかけても、その穴をくぐった違法な製造や取引が行われてきました。

今回これで合法化になったとしても、例えばライセンスの取得や、それを逸脱した販売を行っててもそれに目を瞑るなど、腐敗の領域が拡大するのではないといった懸念がされています。

また、多くの大麻支持者からは、アルコールの依存度や危険は大麻のそれよりも危ないと言われている中で、なぜアルコールについては規制がないのに大麻にはあるのかといった観点での主張がある一方、これを機に大麻に触れることによって、他の麻薬への足掛かりになってしまうのではといった批判が多いようです。

そして何より、麻薬カルテルですが、大麻は実は収益の比率はすでに低くなっており、他のビジネスで稼いでいるため影響を受けないとの主張も。

メキシコの麻薬密売ビジネスにおいて、マリファナの栽培は比較的小さな割合にとどまり、カルテルはフェンタニルやメタンフェタミンなどのより収益性の高い製品に注力していると考えられています。

この点については、別の記事でも触れたいと思います。

最後に

いかがでしたか?

メキシコでの大麻合法化、これからどうなるか目が離せませんね。

しかし、これでメキシコで!!と悪い考えをお持ちの方。要注意です。

日本では麻薬については無許可所持に最高懲役5年、営利目的栽培には懲役10年という重い刑罰がつく犯罪です。

日本国籍保持者は、日本以外の国での嗜好も罪に問われますので十分にご注意下さい。

是非メヒナビの記事のシェアをお願いします!▼

メキシコで働きませんか?

スペイン語を生かしたい…。今いる環境から一歩踏み出したいと考えているあなた。是非メキシコで働きませんか?

メヒナビでは現地の求人情報をお伝えしております。お問い合わせ、紹介はすべて無料。

まずはお気軽にお問い合わせを!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
渡邉海也
メキシコシティに留学をしていましたカイヤと申します。スペイン語、アグリビジネス、移民問題をUNAMで学び、空手をメキシコでも稽古をし国際交流、そしてPinbox S.A. de C.V. でインターンという三本立てで生活をしていました。メキシコ滞在を通して感じたことを皆様にシェアできたらと思います。よろしくお願いします!