メキシコ新大統領就任!|ロペスオブラドール大統領の公約と直面する困難とは

アイキャッチ画像引用:産経ニュース

2018年12月1日はメキシコにとって大切な1日となった。メキシコで1日に大統領就任式があり、新興左派政党である国家再生運動(MORENA)のロペスオブラドール氏が就任した。これは前代のペニャ・ニエト大統領に替わる就任で、6年ぶりの政権交代となる。米国の隣国で初の新興左派政権が誕生した。11月26日付の世論調査で支持率は66%に達する。

MORENAとは

国民再生運動または国家再生運動( Movimiento Regeneración Nacional:下線部を略して MORENA)は、 メキシコの左翼政党である。2014年に政党として正式に登録した新しい政党。オブラドール氏が党首を務めている。オブラドール氏は過去2度の大統領選に挑戦するも落選。そして3度目の挑戦となった今年7月の大統領選で初当選を成し遂げた。

汚職や治安悪化で既存政党離れが続く中、変革を求める国民の期待が高くなった世論を受け、クリーンなイメージを強調したポピュリズム的な新興左派政権が誕生することになった。

会場となったソカロにて

引用:AGORA PLURAL

既成政党の汚職体質にうんざりした国民の圧倒的な支持を受けて当選したオブラドール氏は、新自由主義的な経済政策が腐敗を助長させてきた状態を顧み、汚職と不正を行った政治家が処罰されない状態を終わらせると、汚職撲滅や経済改革に力を入れる姿勢を示した。

そして、就任式では「今日は政治体制を改革させるスタートの日だ」と演説。

従来の経済政策の失敗が格差や貧困を生み出したと批判したうえで新政府は汚職撲滅や新たな経済政策で「抜本的かつ急進的に変革を進める」と意気込みを示した。

オブラドール氏の演説の内容の要約

 

  1. 新自由主義的な経済政策の結果、産油国でありながらガソリンの大半は輸入に頼り、主食のトルティーヤの原料となるトウモロコシすら足りない状況。
  2. 最低賃金は低いまま放置されているため、多くの国民がアメリカへ行くことを余儀なくされている。
  3. 東部ユカタン半島での観光鉄道の敷設を行い投資を活性化させる
  4. 石油精製施設の能力増強といった大型インフラ投資を行う
  5. 年金拡充や若者向けの奨学金や就業支援の実施
  6. 中央銀行の独立性の維持や予算案でも歳入以上の歳出はせずに財政規律を守る

 

 

オブラドール政権中の基本政策の一部

引用:AFPBBニュース

腐敗の断絶

  • 政府機関における閥族主義の禁止
  • 高い役職にある人の給与削減
  • 高い役職の給料を公開

 

エネルギー関連

  • メキシコ国営石油(PEMEX)と電気連邦委員会(CFE)の救出
  • 気体燃料・ガソリン価格の低下
  • ガソリンの秘密採取の禁止
  • ドスボカスとタバスコの精製所の建設と、その他6つの精製所の再建
  • 石油生産の為の公的投資
  • CFEの解体計画
  • 水力発電所の近代化
  • クリーンエネルギー(風力・ソーラー・地熱)施行の援助
  • 遺伝子組み換えの禁止

 

観光

  • 観光地区での科学と文化を推進
  • メキシコ南部での観光を推進(マヤ計画)
  • 観光地域の周辺の地区における都市の改善計画
  • マヤ鉄道の建設

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通信関連

  • 電話通信の全国カバー
  • 国土全域においてのインターネット通信
  • サンタルシア基地の空港使用開始
  • 交通機関のインフラ投資
  • 銀行口座開設の促進

 

雇用

  • 生涯雇用を採用
  • 給与の増加

 

新政権はいきなり困難?

先行き不透明な経済|ロペスオブラドールショック

汚職や治安悪化で既存政党離れが続く中、変革を求める国民の期待は高い。しかし法的根拠のない国民への意見調査で建設中の新空港工事の中止を表明するなど混乱を招く政策で市場や経済界との対立が深刻になっている。そのために経済見通しにも暗雲が垂れ込めている。

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工事の継続を求めているメキシコ最大の経済団体、企業家調整評議会(CCE)のカスタニョン会長は国民向け意見調査を「信頼性や客観性に欠け、法的拘束力はない」と批判。政府の干渉で工事が中止になることで投資環境が不安定になると懸念を表明している。建設中止を受け10月29日はメキシコの株価指数や通貨ペソが下落した。

通貨ペソは1日で3%、代表的株価指数IPCも4%下がった。下落原因は建設中止で「国内総生産(GDP)0.7%分の費用がかかる」(新政権)という直接影響だけでなく、新政権が今後も「国民への意見調査」という法的根拠のない手法で、契約済みの案件ですら簡単に覆す可能性が出てきたという不安の広がりからだという。

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これから新政権に向けて投資が集まらなくなる懸念が広まり、経済の不透明さが少し心配される。来週の米国中間選挙までは軟調、それ以降は新大統領の発言や移民の影響で6円付近を上下する見通しだ。

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このように国民の大きな期待とは裏腹に市場や経済界は「ロペスオブラドールショック」に見舞われている。

Tren Mayaのイメージ画像

不安は投資の減少にも現れている。メキシコリゾート地、東部ユカタン半島のカンクン。地元メディアによると米アップルレジャーグループは空港建設中止を受け投資環境が不安定になったとして3億ドル規模の開発投資計画を中止した。経済省によるとロペスオブラドール氏の当選直後の7~9月期の外国からの直接投資額は前年同期比で3割近くも減った。

 

 

どうなる対米関係|新NAFTA・ホンジュラス移民問題

対米関係でもオブラドール新政権は悩みをを抱えている。それは中米からの移民集団だ。11月25日には一部が警備を突破し国境を越えようとした。そしてアメリカ国境でアメリカ当局とメキシコ側で焼く100人が逮捕された。トランプ氏は国境閉鎖も示唆しており、移民集団への対処次第では経済への影響も出かねない。

また、オブラドール氏が主張する中米移民に就労ビザを発行し国内で受け入れる方針に国民の52.8%が反対なのも国内で反発の可能性が起こることを暗示しているため、より政府の決定が多方面に影響を与えるとみられている。

 

また、移民問題に関して米国と関係が悪化すると、新NAFTAにも影響が出てくると予測されている。

トランプ大統領は日本時間10月1日午後に、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に関してカナダと合意に達し、「NAFTA2.0」は3か国で11月末署名を目指すことになった(メキシコとは8月にNAFTA見直しで合意)。

新協定の名称は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」。 その内容は、名称の変更通り自由貿易の色が薄れたものであった。

 

 

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