日本人が知らないメキシコ人の本当の国民性とは⁈|本気のレビュー『現役通訳夫婦が見たメキシコ自動車産業と今後』

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本記事のタイトルにある『メキシコ自動車産業と今後』というフレーズを見て、「メキシコには興味があるけど、現地の政治経済とか全然分からないよ…」と若干気後れした方もいることでしょう。

そんな貴方でも大丈夫!

この本のテーマとなるのは、日系の自動車工場で働く「メキシコ人の国民性」

お国が違えば考え方も違う。それ故に日本人とメキシコ人の間で衝突が起こる事も。

そんな時この本を読めば、「どうしてこんなことが起こるの!?」を解決する糸口が見えてくるかも。

そして、彼らの国民性を深く知ることができ、メキシコ人の良さに気が付くことができるかもしれません。

メキシコに住んだことのある人は「ああ…そういえばそんな場面見たことある…」と頷いてしまうこと請け合い。

もちろん、これから留学・インターンでメキシコへ渡る方にも是非読んで欲しい!

今回はそんな一冊、中塚信也著『現役通訳夫婦が見たメキシコ自動車産業と今後』をご紹介します!

 

著者のご紹介

本著の筆者、中塚“アンヘル”信也さんは、現在グアナファト州でフリーランスの日西通訳・翻訳やシステムエンジニア、各種コンサルタントとしてご活躍されている方です。

南米パラグアイで生まれ育った日系2世の方で、専門学校・大学時代を日本で過ごされました。
2006年に渡墨、旅行会社で勤められた後に2013年から通訳翻訳業へ身を投じる事に。

「アンヘルな日々」というお名前で、日々ブログも更新されています。
現地情報も豊富、しかも文体がライトで読みやすいので、情報収集にもオススメです!

『メキシコから抜け出せないブログ』

※筆者情報は『現役通訳夫婦が見た メキシコの自動車産業と今後』(中塚信也,2019)ならびに『メキシコから抜け出せないブログ』から抜粋しています。

 

気になるレビュー!

思わず次のページをめくり続けてしまう、そんな魅力的な本

本を読んでいると、「なんだかなぁ」と思って、途中でやめてしまうこともしばしば。それは、本の内容に共感ができなかったり、本に魅力を感じないから。

今回の中塚信也氏著の『現役通訳夫婦が見た メキシコ自動車産業と今後』では、次々とページをめくりたくなってしまいました。

なぜなら、テーマがメキシコ関係の人なら思わず気になるメキシコ人の性格にスポットが当てられているから、そして中塚氏の性格が想像できるような柔らかなタッチでのエッセイ的な読み物に仕上がっているから。

大抵このようなタイプはビジネス書として読むのに少し堅苦しく、読むのにこちらも少し背筋を伸ばさなければならない気がしますが、エッセイ的に書かれていることで気軽に読むこともでき、多くの人にとって取っつきやすくお勧めすることができます。

また、読む前に章立てをチェックしてみると、中身が実践的でビジネスでの関係を円滑に築くコツが書いていることが分かり、非常に見ごたえがあるのではないかと想像を膨らませられました。

 

ちなみにこの本の章立ては、

  1. メキシコ人は自分のルーツを探し続ける人々?
  2. 勝つ事では無く、生き残る事をモットーにするメキシコ版「ジャンテ・ロー」
  3. Mande? Usted(私に命令をしてください)慣用句から読み取るメキシコ人の性格
  4. メキシコの国民性は多様でも、「何故か?」共通している考え方
  5. 北米メキシコ国とメキシコ人の敵
  6. 学歴絶対主義と壁一面
  7. 頼りになるメキシコ人
  8. メキシコと日系企業の今後

 

となっており、メキシコ人のアイデンティティの考察に始まり、メキシコ人の性格や国民性に焦点を当てることで、考察をより一層深くしているように思えます。

また、各章の最後には、まとめが箇条書きで書いてあり、分かりやすくポイントを抑えてくれることでその章の振り返りや、次の章に進む前に知識の整理も促してくれます。

 

「あなたのルーツって何ですか?」

「あなたを『日本人』たらしめるものって何ですか?」

私たち日本人でも、そう聞かれたらきっと困ってしまうはず。

国籍など書籍上のもの、言葉や民族的なものに自分自身の帰属意識、俗に言う「アイデンティティ」に関わる質問に答えるって案外難しくありませんか?

本著の冒頭では、メキシコ人を理解する上で重要な歴史や、「彼らのルーツ」について言及されます。中塚氏によると、彼らのルーツは、メキシコ人の美徳である外部からの文化を拒むことはしないことに起因すると言います。

メキシコの地では1521年以後スペインの支配下に置かれ、元来からこの地に居住していた先住民とスペイン等からやって来た白人との間で混血が進み、「ハイブレッド」層が人口の多くを占めるようになりました。

 

実は私たちが歴史の授業で習った「メスティーソ」などという言葉は現在、差別的用語として敬遠されることが多くなっているそう。そこで本著でも「混血」や「ハイブリッド」といった表現がされています。話がそれましたが、気を付けたいですね。

 

それ故「自分達のルーツは何か?どんな特徴があるか?」という、アイデンティティへの疑問はより複雑なものに。

『メキシコ人は、自分のルーツを自問自答し続けている』(Pos.103)と中塚氏は言います。

この本はグアナファトを中心とした、メキシコ高原部に暮らす人々を考察の対象にしています。

一方、メキシコ国内でも先住民の多いオアハカやユカタン半島だとどうだったであろうか、と考えてみると、人によって「ルーツ」に対する意識は様々だったように思います。

「自分は○○族」と確固たる自身のルーツを明言する人も、現在でも一定数いらっしゃいます。

メキシコ史を振り返ってみても、本著内で取り上げられるマヤ民族のように反スペイン的な感情を抱いた人々も登場することから、西洋文化への順応には地域差があり反発した勢力、あるいは生活そのものは一般的なメキシコ人のそれに順応しつつも明確なルーツを保持している人々の存在にもスポットを当ててほしくなりました。

 

メキシコ人と「Plan・Do・See」

就活生やビジネスマンなら1度は聞いたことがあるであろう、この「Plan(計画)・Do(実行)・See(評価)」というワード。

様々なリスクを考慮し、実行までに会議を重ねて万全の体制を整えるPlanの部分が、日本人にとっては特に重要なステップとして考えられている事かと思います。

しかし、メキシコ人はとにかくPlanのステップが苦手(Pos.637)だと言う中塚氏。

こちらの国民性はどうやら全国区らしく、以前言語学校で働かれていた日本人の方もこんな話をしていました。

「何か学校でイベントがある時でも、皆全然『事前計画』ってのはやらないのよ。『おいおい、大丈夫かよ~』って部下としては不安になるんだけど、実際に当日を迎えて準備してみたら案外上手く行ってしまって、反省会とかもほとんどナシ。次はこうしよう、ってのがあんまり出てこないのよねー!」

本著に出てくるシチュエーションも全く同じ筋書きで、思わず笑ってしまいました。

では、どうしてこのような「計画ナシ体制」でも上手く成り立っているのでしょう?

「Plan・Do・See」問題には、どうやら2つのメキシコ人の国民性が関わっているよう。

1つ目は「不可抗力や外的要因によって、計画が崩れることを本能的に知っている」事(Pos.637)。

どんなに綿密な計画を立てても、崩れることが当たり前、という感覚なのでしょう。

2つ目は「問題が起きたら、どうにか対処して解決すればOK」という潔い考え方(Pos.652)。

しかも、ユニークかつ迅速な解決方法を土壇場で編み出してしまう時ほど、メキシコ人はイキイキと働いているというのだから、これは驚きです。

うーん、これは日本のキッチリした「計画→実行→結果検証→反映」のサイクルに合うはずない!
しかし、私個人としてはトラブルに動じないメキシコ人から、学ぶべきものは多々あると思いました。

「案ずるより生むが安し」の精神が、遠くメキシコの地に根付いているような気も。

そんなメキシコ人の寛容な性格が彼らの陽気さや、危機的状況でも適応できる強さに繋がっているのかもしれません。

そして7章ではメキシコ人の良さも再認識できます。

 

自分で考えろ!と指示していた自らの経験

メキシコ留学時代、私は日本文化普及イベントを日本人・メキシコ人と共に取り組んでいました。

私はその団体の代表としてこのプロジェクトに関わっていましたが、その時に気が付いたことは、日本人の空気感はメキシコ人に伝わらないということ。

日本人には言わなくても分かったり、抽象的な指示をしてもだいたいこちら側が想像したような仕事をしてくれます。

しかしそれがメキシコ人となるとうまくは行きませんでした。団体のロゴ画像を作成するとき、指示はあいまいでしたが、描かれたのは、可愛くイラストされた動物。

ロゴと言えば、スターバッ〇スやマクドナ〇ドのようなものを想像するかと思っていましたが、ある意味予想を超えたものが出来上がってしまい、「好きにやらせる」というスタンスはあまり機能しなかったことを思い出します。

そんな経験を持っている私だからこそ、「自分で考えろ!は危険な命令」という3章3節は自分のストーリーと照らし合わせながら読むことができました。

そして、そのメキシコ人の行動原理や考え方など分かりやすく解説してあり、プロジェクト中にこれを読んでいたら、もっと上手にプロジェクトが進められたかもしれません。

 

総評として

本著は全体としてエッセイ調の文体で書かれているので、普段書籍を読む習慣のない人でも気軽に読み切れると思います。

個人的には、メキシコ滞在中に何気なく聞いていた「¿Mande?(何ですか、命令してください)」や「Ni Modo(仕方がないよね)」といった表現にも、メキシコ人の国民性に裏打ちされたものがあると知り、留学の後に読んで見る事で様々な事象に対する自身の間違った解釈に気付けるきっかけとなりました。

本著にもある通り、2018年や2019年は駐在員の任期が終了する、日本人にとってもメキシコ人にとってもターニングポイントの年

本著内では「順応と変化を重ねてきたメキシコ人が、一定のサイクルで訪れる『文化・習慣的衝突=フレッシュな変化』を受け入れて行くことで、日系企業の性質にも対応していけるようになる」といった趣旨のまとめ(Pos.704)が成されています。

このまとめは、いささか日本人のメキシコ人に対する他力本願な気も。

メキシコ人の性質を理解した上で、彼らとどんな共存関係を目指していくべきなのか?

新しくやってくる駐在員はメキシコ人がどういうものかをあまり知らないで来るでしょう。また、メキシコ人もようやく日本人に慣れたりしたタイミングで人が変わってしまい、様々な局面を迎えそうです。

本著に描かれていないこの先のビジョンを描くのは、メキシコで学び働く私たちである、ということでしょう。本著を通して、日本人自身も上手にメキシコ人と付き合うための鍵を得て、メキシコ人と最高の関係を築くためにあるべき姿を考えなければならないと気づかされた感じがします。

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ABOUTこの記事をかいた人

渡邉海也

メキシコシティに留学をしていましたカイヤと申します。スペイン語、アグリビジネス、移民問題をUNAMで学び、空手をメキシコでも稽古をし国際交流、そしてPinbox S.A. de C.V. でインターンという三本立てで生活をしていました。メキシコ滞在を通して感じたことを皆様にシェアできたらと思います。よろしくお願いします!