NORIの日本メキシコ化計画? メキシコの出生届と婚姻届を紹介。日本も戸籍制度を止めて少子化対策?
こんにちは。改めまして、NORIと申します。
私は、2001年からメキシコに在住しています。現地の日系自動車部品の工場に延べ12年勤めた後、メキシコ資本の事業コンサルティング会社で日本のお客様を対象に営業をする傍ら、書類翻訳や会議通訳をしてきました。今月から100%自営業体制で、頑張ります!
日本メキシコ化計画?とは?
これまで、メヒナビで『NORIのメキシコ!ちょっとだけフリーク』と題して、メキシコ在住経験を活かした生活の知恵を、ささやかながらレクチャーさせて頂きました。
また、その後は『メキシコビジネストレンド』で、半年に亘りメキシコでの事業に関するいろいろな情報を提供しました。
今回から半年間も引き続きメキシコに関しての情報をお届けしますが、少し視点を変えようと思います。
新しい視点では、「メキシコにはこんな制度、習慣があります。グッドプラクティスとして、日本の皆さんも是非やってみたらどうでしょう?」という考えをベースに、メキシコを紹介していき、ひいては日本に住んでいる皆さんのお役に立てれば、という一石二鳥的なねらいがあります。
「日本をメキシコにしてしまえ!!!」だとちょっと過激ですが、私が提案する内容にはもしかすると日本在住の皆さんが「そんなこと出来るわけないだろ!」というものも含まれるかもしれません。
問題への解決策をそのまま提示するというよりは、私の提案をきっかけに、日本の課題に対して「う~ん、こんなことだったらできるかも」と、皆さんなりに考えるための一助となれば、私にとってこれほど嬉しいことはありません。
では、また半年間宜しくお願い致します。
メキシコの出生証明、婚姻証明ってどんなもの?
今回はメキシコで子供が生まれたり、また結婚をするときに行う手続きについて簡単ですが触れたうえで、それらをめぐってメキシコの人々が行っていることを紹介します。
日本には戸籍というのがあり、子供が生まれる、結婚する、離婚する、養子縁組、死亡など、人に関する色々な事柄が、法律上の「家族」集団単位で記載されていることは、皆さん当然ご存じかと思います。最近はどうか分かりませんが、私が日本に住んでいた頃はまだ結婚することを「籍を入れる」と表現することも、良くありました。
実はこの戸籍制度、世界で制度として存続しているのは日本と中国、台湾のみだそうです。韓国(大韓民国)でも戸籍制度を行っていましたが、2007年末で廃止されたそうです。
そして中国、台湾ではそれぞれの事情により、制度はあっても日本のように明確には運用されておらず、形骸化しているようです。
戸籍は家族単位での登録をしますが、世界の大半の国々では「個人」単位での登録で、今から説明しますがメキシコでもそのようになっています。
また届は証明書を作るときに窓口で行うので、実際に書類として存在するのは「出生証明書 (acta de nacimiento)」や「婚姻証明書 (acta de matrimonio)」になります。
個人情報を削っているのでちょっと見ずらいかもしれませんが、メキシコの出生証明、婚姻証明の書式はこんな感じです。
出生証明であれば生まれた子どもの氏名、両親の氏名や年齢と国籍、祖父母の氏名等や証人といった内容が記載されます。ちなみに、メキシコを含めたスペイン語圏のオーソドックスな氏名の設定は、名前(日本と違い、いくつあっても良いが大体1つ~3つ)、父方の姓、母方の姓の順番です。
婚姻証明の場合は、結婚する二人の氏名、年齢や国籍、両親の情報、証人といった内容になります。
いずれの書類でもここで大事なポイントは、生まれた赤ちゃんにせよ結婚した二人にせよ、「その人個人」がどういう人か、を表しているということであって、「籍(法律上の家族と言えばいいでしょうか)」という概念は存在しない、ということです。
メキシコの子育て感について
誰かが面倒見てくれるから、大丈夫
書類と制度の話から、一旦離れます。
我が家の事情になるのですが、要介護の家族が居りましてその関係で看護学校を卒業して間もない、若いメキシコ人の看護師さんたちと良く接しています。ちょっと前ですが出入りする看護師の中に19歳(当時)の人がおり、午前中の数時間、しっかりお仕事をしてくれていました。
ある日、彼女が「Noriさん、実は私の母親が昨日子供を産んだんですよ」と、嬉しそうに話してくれました。
「それはそれは、おめでとう。」とまずは伝えたうえで、彼女には既にお姉さんが1人、妹が1人いたことや、38歳になったお母さんも病院で看護師をしているのを知っていたので、4人目となると「いやいや、しかしお母さんも仕事しながら子育ては大変じゃないのかい?」と、尋ねてみました。
すると、彼女から返ってきた答えは「うーん、まあそうですけど、でも必ず誰か赤ちゃんの面倒を見てくれる人がいるんですよねぇ、うちの場合。親戚とか、ご近所さんとか」でした。
また、今回の赤ちゃんは結婚している旦那さんとの間に生まれた子供ではないことも、後で教えてもらいました。
私がこの話を聞いて思ったのは、2つのことです。一つは「ああ、きっと彼女たちの周りには仕事が無かったり、暇を持て余している人が多いんだな」ですが、もう一つは「でも、何だか生活に色々な意味でゆとりがあってよさそうだなぁ」です。
最近は日本でもベビーシッターアプリが登場し、色々と話題を提供していますし、メキシコにも有料で子供の面倒を見るビジネスがあります。
このように、親が仕事や余暇の間に面倒を見る受け皿は大変重要です。
またこれと併せて私が重要だと思うのは、「どんな境遇で子供が生まれたとしても、面倒を見てあげる、手を差し伸べることが出来るゆとり」です。
「結婚を前提とした子育て以外の選択肢」を積極的に受け入れては
制度の話に戻りましょう。
私は2000年にメキシコ女性と結婚し、4年後に当地で息子を授かることになりました。「結婚して子供をもうける」ことに当時は全く疑問を持たなかった私ですが、最近メキシコの若い人たちと話をしていると、いわゆる同棲や事実婚のような形で一緒になって、子供もいたりするケースは増えているような印象です。
大前提として、結婚するしないに拘らず子供を持つかどうかは個人の自由なわけですが、経済的な面で難しいという部分は色々解決策が今後出てくることを期待するとして、戸籍や各種助成などの制度上で、結婚していない状態で子供を産んで育てることに直接間接の制約がかかってしまうのであれば、ここはやはり考えるべきではないかと思うのです。
子育てが「完璧」である必要もないのでは
また実際に子供が生まれて、その世話をすることに対して例えば「母親が育児を引き受けねば『ならない』」とか、固定観念に囚われる必要もないと思います。子供に対して母親が与える無償の愛は重要と考えますが、母親には母親個人としての人生があり、それは最大限尊重されるべきものでしょう。育児や家事全体に対する責任を負うことと、それを自分でするか、また家族や人に頼んでしてもらうかを自由に決められるような社会の仕組みや、人の考え方の変化を期待します。そして当地に住んでいつも思うことですが、世のなかに完璧なものは何もなく、自分もそうでなくていいし、また人に完璧を求める必要もないのです。抽象的で分かりずらいかもしれませんが、そういうことを実生活で実現していくのが「ゆとり」なのだと思います。
私の事業、相談にはお便り下さい
今回は出産と婚姻について思うままに書きましたが、私はメキシコ人と結婚・離婚される日本人の方々に対し相談に乗ったり、書類を翻訳したり、「メキシコで事業をしてみたい」「メキシコに日本からモノやサービスを売りたい」という方々の事業サポートをしています。
皆さんが困ったことについては何か力になれればと思っていますので、そんな時は是非、川村 (akabanestar@hotmail.com)まで、是非メールを頂ければと思っています。
それでは、次回もよろしくお願いします。
▼希望するテーマ等ございましたら下記お問い合わせまで▼
メキシコで国際結婚して半年、来年には子供が生まれるので子育て感についてとても参考になりました。ありがとうございました。
Tomoyo さん、コメント有難うございます。
手伝ってくれる方法や程度は千差万別ですが、探せば誰かしら手を挙げてくれる、ゆとりのある所がメキシコだと思います。今後とも宜しくお願い致します。