こんにちは。あなたの会社のメキシコ事業を応援する企業、プロデンサの川村と申します。
私は、2001年からメキシコに在住しています。また、今のお仕事の前は、日系企業でのべ12年勤務した経験もあります。
ささやかながら、私の経験が日本とメキシコの良き橋渡しになってくれればと思います。宜しくお願い致します。
さて、以前は「メキシコ!ちょっとだけフリーク」というタイトルで、メキシコ生活に関するコツやポイントを6回に亘って説明しました。
2回目となる今回は、不透明な世界情勢の中でもまだまだ、世界の製造拠点として各国から注目されている、メキシコにおける事業にて日本の企業が受けられるインフラや、メリットの可能性について探っていきたいと思います。
コロナ騒ぎや米中貿易摩擦を機に、場合によっては製造拠点の複線化が進む?
この記事を書いている今も、皆さんや私も含めて、コロナに伴う影響により以下のような状況のさなかにあるかと思います。
1) 外出制限で思うように外に出ることができないので、生活様式や仕事のやり方が大きく変わった。(テレワーク、食事を宅配してもらうなど)在宅勤務は慣れていなくて、色々な意味でしんどい。
2) 政令により事業所、工場の操業ができない。または、工場で生産をしようにも部品や材料の供給が滞っているため、操業に支障をきたしている。
中国を皮切りに、世界中に拡大した新型コロナウイルスは、瞬く間に少なくともこの先3年程度、あるいはその先も含め、従来の人類のライフスタイルを変えてしまうほどのインパクトを与えています。
特に、慣れないメキシコの地に赴任されている方々や、そのご家族の皆さんは、外出制限などもあり、なかなかストレスのかかる毎日を過ごされているのではと思います。(多くの方が帰国もされました。)
読者の皆さんの中で、とりわけ製造業に携わっている方々やそのご家族の皆様は、特に上の2)について、大きく心配されたのではないかと思います。
この記事を私が書いている時点では、中国はその製造業の稼働状態を、急速に回復させてきた状態になっていますが、お仕事のみならず我々の生活全般が、どれだけ中国という所に大きく依存しているのかを、体感できたのではないかと思っています。
一方で、コロナ騒ぎで若干陰を潜めてしまいましたが、近年の米中貿易摩擦および、これに伴ったいろいろな政治的な思惑がちらついています。
その影響としてこちらアメリカ大陸では、中国製品に対する米国の関税引き上げに伴って、「自国・地域で調達できないので、あるいは安いので、中国製品を輸入する」という単純な図式が、各方面で見直されてきていることも確かなようです。
中国から他のアジアの国々、例えばベトナムに工場を移転している企業も多いようです。
ただ、長年「世界の工場」として世界全体の材料・部品供給に大きな役割を果たしている中国でないと確保できないものもあり、簡単には行かないようです。
それは、原材料を調達するためのサプライチェーンがアジアの多くの国で未発達であることや、中国では確保しやすい技能を持った労働者が、これらの国では確保しずらい等、多くの問題に起因しています。
一方日本では余り知られていないかもしれませんが、実は中国企業自体もアジア諸国(特にベトナム)の他に、メキシコでの生産を増やし、米中貿易摩擦による関税引き上げを回避しようとする動きになっています。
こうした世界情勢の中で、既に自動車産業などに携わる方には知られているところかもしれませんが、色々な商品を製造するのに日系企業でも、特に米国向けのものについては「アジアではなく、メキシコ」という選択肢が、有望なオプションの一つとなるのではと思います。
意外と住みやすい?メキシコで仕事して暮らす
では実際にメキシコでの事業を考えてみよう!と思った企業の方々に、我々がお伝えできることは、どういったものなのでしょうか。
これは、例えば「日本からメキシコに製品を輸出して売ってみたい」場合も、「メキシコで事業をやってみたい」場合も、双方にあてはまるものが多いと思いますが、概ね以下のようになるかと思います。
1) アジアとは異なる、まったく新しい市場であること
日本の多くの企業にとって、メキシコを含め中南米の市場は、まだ開拓されていない、あるいはもしかすると知られてもいない場所であると思います。
一方、例えばアジア諸国向けに商品を販売したり、またアジア諸国で事業を行うことは、市場にまだ伸びしろがあるとはいえ、日本企業以外にも中国、韓国や地場の企業が競争をしていて、なかなか成長の予測を立てるのが難しいのではないでしょうか。
また既に述べた通り、米国トランプ政権が自動車産業を主とした貿易ルールの改定を求めたことから、一見するとあたかもメキシコは北米輸出向けの製造業に不利になってしまったように見えますが、それは自動車という、製造全体のごく一部の話にすぎません。
またメキシコ・カナダ・米国は数十年にわたって相互補完的な関係を築いてきており、「米州の製造基地」としてのメキシコの地位が容易に脅かされる状況は、必ずしもなっておらず、引き続きメキシコは製造を行う場所としてグローバルに注目され続けています。
2) 実はグローバルな製造大国メキシコ
日本では余り知られていませんが、日本と同じくらいの人口がいる市場+グローバルな製造大国の一つメキシコの人口は約1億2,500万人(2018年統計)となっており、日本の面積の約5倍土に、日本と同じくらいの人口がいる感じです。
また、若年層の割合も日本と比べるとずっと高く、その意味では消費に貪欲な、将来にわたっても極めてポテンシャルの高い国であると言えます。
一方、これも日本では余り知られていないかもしれませんが、南北アメリカ大陸の主要な製造大国として、米国を始め欧州、南米を含め、世界中に製品を輸出しています。
これを助けているのが、多くの国・地域と結んでいる自由貿易・経済連携(日本とも結んでいます)協定です。
3) 日本への関心が高まっており、世界有数の親日国である
これもレアな情報ですが、日本が明治維新の後、初めて外交上の「平等」な条約を締結した国がメキシコ。
その他歴史的に見ても、米国とのビミョーな関係など実は共通点も多く、また程よく?距離が離れていることからもだと思いますが、日本に関心や憧れを持っている人は多いです。
40代以上の方なら、「第二次世界大戦の後の高度経済成長」(ちょっと古いですが…)を挙げてくれますし、若い世代に聞くとJポップ、アニメ・漫画に親しむ人は増えています。そして、この数年でメキシコのさまざまな都市にいろいろな日本料理店が新規に店を構え、メキシコ人と日本人、両方のお客さんで繁盛している店もたくさんあります。
当然言葉や文化の隔たりは大きいですが、逆に大きいからこそ分かり合えることもある、と私(妻がメキシコ人ですので、メキシコ人と日々顔を突き合わせて生活しています)はよく思いますし、実際にそう思われる方も少なくないでしょう。
またこれも既にお話しした内容かもしれませんが、メキシコ人と実際に現地で仕事をしたことがある方々は、メキシコ人が総じて労働におけるパフォーマンスに対して敏感であり、グローバルに見ても決して遜色ない、モノづくりのレベルを持っていることを、体感されています。
私は以前、現地で自動車部品を製造する日本企業の工場で働いていたことがあります。この企業は自動車の熱交換システム(ラジエーターなど)を作っていましたが、日本から駐在で来られていたエンジニアの方々も、メキシコ人の製造におけるパフォーマンスに満足されていたのを覚えています。
現時点で、メキシコで法人を構えている日本企業の数は、ようやく1,100社を超えたところです。ですが既に述べた通り、日本の会社が物を販売したり、また事業を展開していくに足るバックグラウンドは十分に有ると私は思っています。
最後に
以上、本当にザッと纏めていますが参考になれば幸いです。
また、「メキシコで物やサービスを販売してみたい」という方、「メキシコで製造を行うための事業設立や、業務提携などについて知りたい」という方、是非私宛(nkawamura@prodensa.com)まで連絡を頂ければと思います。
では、また次回もよろしくお願いいたします。
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コロナ禍でメキシコも大きな影響を受けています。それに伴い働き方も変わってきています。メキシコで働き方改革がどう行われていくのか、その可能性についての一考察です。
提供: grupo prodensa
1996年~98年にグアナファトに留学し、 卒業後2001年からメキシコに住んでいます。日系自動車部品メーカー勤務の後、『メキシコに物を売りたい』『メキシコで事業をしたい』人や企業さんのお手伝いをしており、並行して公式文書の翻訳や、同時通訳もやっています。いつでも相談に乗ります。