グアダルーペの聖母とは?メキシコの宗教・カトリックの歴史をわかりやすく解説!

現在ではメキシコの全人口の約90%がカトリック信徒であるとされていて、スペイン語圏において、メキシコは最もカトリック人口の多い国であるとされています。

どうして、こんなにもカトリックが多いのでしょうか?今回は、メキシコでカトリックが普及された歴史とそのキーワードであるグアダルーペの聖母について触れてみたいと思います。

inglesia, カトリック教会

メキシコの宗教の歴史について振り返ろう!

スペイン人到来、征服

Conquista

まず、それは、スペインの征服から始まりました。

スペイン人のエルナン・コルテスは水上都市テノチティトラン(Tenochtilan)へ到着し、

メシカ(Mexica)の土地を支配するため、戦争が始まりました。戦争は2年間続きました。(1519〜1521年)

スペインの征服者達はアステカ帝国と敵対していた、トラスカルテカス(Tlaxcaltecas)、トトナカス(Totonacas)、テスココ(Texcoco)のアルテペトル(Altepetl)部族から20万人の先住民の援助を受けました。

戦いは1521年8月13日、テノチティトランが征服され終了します。

Portrait of Hernán Cortés by ANONYMOUS

スペイン人によるカトリック布教

先住民をカトリックへ改宗させる

このスペインの征服によって植民地化が始まりました。先住民は神々に対し熱烈な信仰心を持っていたので、植民地化は容易ではありませんでした。

メシカ(Mexica)を征服するため、スペインの王は先住民を改宗される為キリスト教、カトリック教会について教えました。多神教であった先住民が持っていた信仰心に影響を与える為でした。

17世紀にはグアダルーペの聖母という聖なる女性を見たと主張する、ホアン・ディエゴという名の男性が現れ、ほとんどのメシカの人々はキリスト教を受け入れるようになりました。

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ホアン・ディエゴ
グアダルーペの聖母

※グアダルーペの聖母は髪の色も目の色もメスティーソに容姿が似ていた為、信仰し始めたとされます。

※下記グアダルーペ寺院を参照してください。

同時に、宗教だけてはなくメシカの土地は「ヌエバ・エスパーニャ」と呼ばれ、住民の日常にも影響しました。

教会は既に「ヌエバ・エスパーニャ」において、社会的および経済的権力を持つ非常に強力な機関でした。このことにスペインの王達は、自分たちの権力の尊重と権威の危険を感じていたので、可能な限り教会側の力を弱めようとしました。教会の代表者が、聖人や神々のように崇められる信念を減らす為に革命を起こしました。

教会は征服と植民地の時代にメキシコ人を奴隷化するという任務を持っていた組織であり、イデオロギーだけでなく社会的および経済的な秩序を作り出しました。

異端審問

教会は権力を得る為に、拷問と恐怖で正統信仰に反する教えを持つ先住民全体を制圧する異端審問とを設けました。キリスト教を批判した,あるいは受け入れなかったとして、メキシコ人が大勢処罰され,中には殺された人々もいました。

Mural Diego Rivera.............. Santa Inquisición.

教会の権力を無くす動き

当時知事になったブルボンは教会を権力から外すための法律を作成しましたが、当時これらの法律は聖職者には影響しませんでした。

その後ベニート・フアレスが権力を握り、今日まで使用されている州の3つの権限(立法、行政、司法)を作成する為のベースとしてブルボンの考えを取り入れた為、メキシコ人に最も愛された大統領となりました。

この為、資産のほとんどは教会から取得され、住民のために使われました。これは他の歴史的出来事と共に、1世紀以上続いた教会と政府の関係の決裂につながりました。

New MXN $500
500ペソ紙幣のベニート・フアレス

 1993年、カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領の立法で、教会と政府が再び団結しました。

現在24の公認教会(1つはラテン系、23は世界各国のもの)があり、メキシコの教会は信仰の面で最も存在感のある機関です。

※メキシコシティにある グアダルーペ寺院(La basilica de Guadalupe)がラテン系です。

メキシコでカトリック教が広がったきっかけは?

グアダルーペの聖母の出現

皆さんは、グアダルーペの聖母についてご存知ですか?

メキシコで生活をしていると、しばしば目にするものの一つに「グアダルーペの聖母」があります。 教会は勿論、道路、公園、市場、一般の家庭内等々、この聖母像や聖母の画が見られる場所は様々です。

筆者宅近くの公園にあるグアダルーペ聖母の画。筆者撮影。以下、全ての写真は筆者撮影。

グアダルーペの聖母は、メキシコのテペヤクの丘(現在グアダルーペ寺院があるところ。詳しくは後述。)に出現したとされる聖母で、こちらではよく、Virgen de Guadalupeと呼ばれています。「褐色の聖母」としても認知されていますね。

そんなグアダルーペの聖母は、カトリック教会が公認している聖母の出現の一つであり、メキシコで最も敬愛されている宗教的シンボルでもあります。

メキシコは、カトリックを信仰している人が多いことで知られますが、同じくグアダルーペの聖母も多くの人によって崇拝されており、メキシコの人にとって重要な存在とされています。

オアハカのサントドミンゴ教会にあるグアダルーペ聖母の画。

実際、メキシコ国内にあるカトリックの教会内を見学すると、多くの教会でグアダルーペの聖母画(聖母像)が置かれているのを確認できます。

また、冒頭で述べたように、メキシコでは本当に様々な場所でグアダルーペ聖母の像や画を見ることができます。

例えば、↑この写真は、メキシコ国立自治大学(UNAM)近くのサン・アンヘル市場で撮ったもの。正面右の画がグアダルーペの聖母。また、左端にある銅のプレート(?)に彫られているのも同じく。

そんなグアダルーペの聖母が現れたのは1531年12月9日、ホアン・ディエゴが、メキシコ・シティ郊外のテペヤックの丘を通りかかったときでした。

Juan Diego Virgen de Guadalupe Arizona

彼はスペインの司教、ホアン・デ・スマラガに聖母の事を伝えましたが、彼は信じてくれませんでした。

その3日後に3つの奇跡が起こりました。

3つの奇跡

1つ目の奇跡はもう寝たきりで、死を待つだけだったホアン・ディエゴの伯父が回復したことでした。

2つ目の奇跡は、冬に植物が育たないような乾燥した土地で赤いバラが生えたのです。

3つ目の奇跡は信じてくれなかった司教への証拠として赤いバラを持って行った時に起こりました。マントにバラの花束を包み、司祭のもとへ再び行きました。そして、目の前で広げられたマントから聖母の姿が浮かび上がったのです。

Pope John Paul II & Juan Diego's Tilma

聖母の望みは、彼らが彼女に敬意を表して寺院を建て、ヌエバ・エスパーニャのすべての住民が愛のメッセージを理解することでした。

その日以来、毎年メキシコの何百万もの人々が12月12日を祝うようになりました。

※「聖母グアダルーペの日」(día de Nuestra Señora de Guadalupe)としてメキシコで祝日になっています。

主な活動の中で巡礼が注目を浴びます。信仰の対象となる人々の多くは、自宅(メキシコ全州)から国の中心に建てられた寺院に向かいます。(メキシコシティにある グアダルーペ寺院 La basilica de Guadalupe)

¿No estoy yo aquí que soy tu madre?

さらに、その日(12月12日)は南米でも祝福され、聖母はアメリカの母として知られていますが、スペインの征服の間、先住民が信じていた古代の神々の聖地は破壊され、その場所に新しい寺院が建てられた為、グアダルーペの聖母が現れて以来、疑念を抱く人達がいるというのは仕方のないことでした。

メキシコ人の90%以上が、セロ・デル・テペヤック (Cerro del Tepeyac)にあるグアダルーペ寺院( La basilica de Guadalupe)に到着し寺院を見たときに、祈りを捧げます。

グアダルーペ寺院の入り口には聖母がホアン・ディエゴに語った言葉の中の一文”¿No estoy yo aquí que soy tu madre? “(おまえの母である私は、ここにいないのだろうか?)が書かれています。

NO ESTOY YO AQUI QUE SOY TU MADRE

最後に

いかがだったでしょうか。

メキシコ人にとって、とても大切な「グアダルーペ寺院」

彼らの崇拝の対象となっているグアダルーペの聖母は、メキシコという国と、メキシコ人について知りたいなら、是非一度訪れて見ていただきたいと思います。

メキシコシティの中心部からはちょっと離れてますが、メトロで簡単に行けます。

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