NORIのメキシコ!ビジネストレンド|これからメキシコ事業を考える方々へ
こんにちは。あなたの会社のメキシコ事業を応援する企業、プロデンサの川村と申します。
私は、2001年からメキシコに在住しています。また、今のお仕事の前は、日系企業でのべ12年勤務した経験もあります。
ささやかながら、私の経験が日本とメキシコの良き橋渡しになってくれればと思います。宜しくお願い致します。
さて、以前は「メキシコ!ちょっとだけフリーク」というタイトルで、メキシコ生活に関するコツやポイントを6回に亘って説明しました。
今回は6回目で、「ビジネストレンド」は最終回となります。(泣)
これまで、5回にわたりこのメヒナビ上でメキシコを取り囲むビジネス、事業に関するいくつかのトピックを扱ってきました。
大きな柱としては
- メキシコを取り巻くビジネス環境全般
- その環境の中で働くメキシコ人や日本企業
のようなものになったかと思います。
最終回となります今回は、それらのテーマを総括する形になりますが、
「メキシコを相手に商売をしてみたい」あるいは、
「メキシコでビジネスをしてみたい」個人・法人の方々を対象に、簡単ではありますが「メキシコでビジネスをするときに最低限考えるべきこと」を、まとめてお伝えしたいと思います。
これ、本当は有料のサービスなのですが、会社で日本語が分かるのが私だけなのでナ・イ・ショ(笑)です。
課題1…メキシコの法規(事業運営に関するもの)って?
メキシコに関連する事業(日本他からメキシコに輸出する際も含めて)を行う際には、以下のような法令・規格などが関係してきます。事業の性格により、関係する内容は異なります。
- NOM (Norma Oficial Mexicana): メキシコ公式規格(日本のJIS、JASなどに相当します)
- Ley Federal del Trabajo: 連邦労働法
- Seguridad Social: 社会保険
- NMX (Norma Mexicana): メキシコ規格
- IMMEX (Industria Manufacturera, Maquiladora y de Servicios de Exportación): 輸出向け製造・委託加工・サービス産業のためのプログラム(メキシコから輸出する際に使用します)
- T-MEC (USMCA): 米国・メキシコ・カナダ協定(2020年7月発行の貿易協定)
- Certificación del IVA: VAT還付認定企業制度(付加価値税の保税扱いを受けるのに必要)
- Rule of Origin: 原産地規則
- その他
日本とメキシコに関しては、日墨経済連携協定などもあります。2005年に発効し、工業製品や食料品、農産物など幅広く関税の減免適用を受けることが出来る協定です。
課題2…メキシコ事業運営(初期)投資はどれくらい?
事業内容を決める途中で、弊社として考慮に入れた方が良いと思う経費のいくつかを紹介します。主にメキシコへ進出検討される方向けですが、メキシコの企業と代理店契約を検討する際の、相手側の価格構成の参考にもなると思います。
1.労務費
メキシコでは、従業員に払う給与、福利厚生にかかる経費全体、および事業を行っている州が徴収する給与税といったものが、経費として取り扱われます。
その他いろいろありますが、メキシコでは従業員や家族向けにクリスマスパーティーや、ファミリーデーを開いたり、従業員向けの送迎バスを運行したり、食堂の運営や食費補助をしている所が多いです。
また、通常は国のインフレ指数に応じて、定期的に給与を上げていく場合がほとんどです。
2.材料費や物流・輸出入費用
部品・材料費、輸送費、関税、通関手数料など諸費用が発生します。
輸送そのものの費用の他、複雑で細かいUSMCAやメキシコの貿易税制に対応する費用、国の認可を受けた通関代行業者、輸出入活動にかかる人件費にも注意が必要です。
3.インフラ
土地や建屋、電気・水道・ガス・光ファイバー、その他ユーティリティにかかる費用です。輸出入などもそうですが、許認可にかかる作業や、政府指定業者に払う費用なども考慮が必要です。ニューノーマル下では、リモートアクセスなどの諸費用も重要になってくるでしょう。
4.保守など
固定費、変動費、運営費用やメンテナンスなどがあります。
5. 税金
メキシコの租税のうち事業に関係するものは多くが連邦(国)による所得税や付加価値税ですが、いわゆる固定資産税に相当するような州・市に払うものもあります。特に、輸出入時の関税や付加価値税の取り扱いには注意が必要です。
また、メキシコではマキラドーラと呼ばれる、部品・材料・設備などを外国法人から借り受け、加工して輸出する、委託加工の仕組みが法制化されています。主に米国との国境で伝統的に行われてきましたが、仕組みそのものはメキシコ全土で利用可能です。一方、この仕組みを利用する場合は特別な課税ベースが適用されるため、これをあらかじめ理解したうえで事業構築に臨む必要があります。
6. 自治体からの助成(インセンティブ)
メキシコの場合、インセンティブの多くは投資誘致などをしている州と折衝し、投資規模に見合った助成を引き出すことが出来ます。折衝の内容に依りますが、土地、給与税、従業員教育、スタートアップに必要な仮事務所の提供などが対象となることが多いです。
課題3…企業風土をメキシコの水に慣れさせるには
メキシコは日本の国土の5.2倍の広さがあります。
アジアから遠く離れた国であることの他、南北に長いメキシコ国内でもビジネス慣行に地域差があります。
メキシコでのビジネス環境に企業をスピーディに順応させていくには、経験ある「師」を仰いでほしいと思います。
以前は東京・永田町にも連邦政府経済省のPROMÉXICOプロメヒコという部署があり、メキシコへの投資などについてアドバイスを行っていたのですが、昨年2月に廃止されたため、現在は日本語の通じるアドバイザー・コンサルティング企業などで、特にメキシコにも拠点を有している所にアクセスするのがおすすめです。
課題4…メキシコ人を雇う、ということは?
メキシコ人の75%が、労働人口です。
日本と比べて、平均年齢もずっと若く、まだ30歳に届くか届かないかです!
そして多くの日本人にとって、メキシコ人はおしなべてとてもよく働くように見えます。
一方、いわゆるワークライフバランスも大事にする人たちです。
課題5…サプライチェーンは、メキシコでどう構築しよう?
USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に代表される昨今の貿易をめぐる変化は、特にアジアから米州に部品・材料を運ぶアジア系製造業に、サプライチェーンの大幅な見直しを迫っています。
可能な場合には、同一の部材に対して複数のサプライチェーンを考える必要があるでしょう。メキシコは貿易制度が多様かつ複雑であり、物をスムーズに運ぶだけでなく、税務上のメリットなどもサプライチェーンで大きく変わることがあります。
メキシコ国内の業者を起用することにより、リードタイムやコスト削減を行い、また事業そのものをメキシコにより定着させることが出来るでしょう。もちろん、業者を発掘し育成するためには相応の時間を必要としますが、代理店候補も含め、こうした業者を紹介するサービスを行っている会社もありますので、是非活用されることをお勧めします。
メキシコ事業について、もっと知りたい!という方へ
我々プロデンサでは、企業の社会的評価アセスメント、貿易ルールコンプライアンスを始めとして、メキシコで事業を行いたい、また今のメキシコ事業においても経理、人事、環境安全衛生や市場調査、その他いろいろな面で企業さんのお手伝いをすることが出来ます。
「メキシコで物やサービスを販売してみたい」という方、「メキシコで製造を行うための事業設立や、業務提携などについて知りたい」という方、そして「現行事業のお手伝いが必要」という方は、是非私、川村宛(nkawamura@prodensa.com)連絡を頂ければと思います。
6回に亘ってお付き合いいただき、本当に有難うございました。
今後の掲載内容については、別途メヒナビ上でお知らせしたいと思いますが、是非今後もメキシコフリークの一人として、皆さんに喜ばれるような内容をお伝えできればと思います。
それでは!
1996年~98年にグアナファトに留学し、 卒業後2001年からメキシコに住んでいます。日系自動車部品メーカー勤務の後、『メキシコに物を売りたい』『メキシコで事業をしたい』人や企業さんのお手伝いをしており、並行して公式文書の翻訳や、同時通訳もやっています。いつでも相談に乗ります。