【メキシコ文学名作ショートショート】共謀綺談(Confabulario)/フアン・ホセ・アレオラ著

みなさん、こんにちは。

ショートショートをご存知ですか?

ショートショートとは簡単に言うと、短編小説よりも短い小説です。
そのため描写が十分になく、読者の想像に任せる部分が多いという特徴もあります!
短いながら、伏線の回収やオチが素晴らしいというのもありますね!

日本では星新一さんがとても有名ですよね!

実はメキシコにもショートショートが有名な本があります!

それがフアン・ホセ・アレオラ著『共謀綺談』です!

そこで今回は著者とこの本を簡単に紹介していきたいと思います!

フアン・ホセ・アレオラ(Juan José Arreola)ってどんな人?

elpais.com

フアン・ホセ・アレオラ(Juan José Arreola)はハリスコ州、サポトラン生まれのメキシコの作家です。

リアリズムが主流であったメキシコにおいて、フアン・ルルフォとともに短編の新たな指標を示したと言われています。

後で内容にも触れますが、彼の作品は簡潔に語りながらも、皮肉が効いていたり、笑いもある書き方をしています。
文学ジャンルの枠も超えていたと言われていて、寓話、手紙、広告などさまざまな形式で執筆されました。

アレオラの注目ポイントを一つあげるとすれば、それは多くの作家に刺激を与えたことです。
ワークショップを開き、雑誌や叢書を出版することで当時の若手に活躍の機会を与えました。

アレオラと関わった作家は、ルルフォ、フエンテス、パチェーコ、アグスティンなどメキシコ文学を語るには欠かせない方々ばかりです。

その方々の本を紹介した記事はこちらです!

前述の四人の本は読んだことあったのですが、アレオラの本は読んだことはありませんでした。
彼らに影響を与えたアレオラに興味を持ち、今回『共謀綺談』を読もうと思いました。

『共謀綺談』(Confabulario) ってどんな本?

1952年に”Confabulario”、2018年に日本語訳『共謀綺談』が出版されました。
この本は28編のショートショートが詰まっていて、アレオラの一番有名な本だと言って良いのではないでしょうか!

以下が収録されているタイトルです。

 山々が出産しようとしている(Paturient montes)
 まことに汝らに告ぐ(En verdad os digo)
 サイ(El rinoceronte)
 トリクイグモ(La migala)
 転轍手(El guardagujas)
 弟子(El discípulo)
 エバ(Eva)
 村の女(Pueblerina)
 ロードスのシネシウス(Sinesio de Rodas)
 反抗的な人間の独り言(Monólogo del insumiso)
 驚異的なミリグラム(El prodigioso miligramo)
 ナボニドゥス(Nabónides)
 灯台(El faro)
 悼んで(In Memoriam)
 バルタザール・ジェラール(一五五五ー一五八二)(Baltasar Gérard 〔1555-1582〕)
 ベビー・H・P(Baby H.P.)
 お知らせ(Anuncio)
 弾道学について(De balística)
 調教された女(Una mujer amaestrada)
 パブロ(Pablo)
 物々交換のたとえ話(Parábola del trueque)
 悪魔との契約(Un pacto con el diablo)
 改宗者(El converso)
 神の沈黙(El silencio de Dios)
 地の糧(Los alimentos terrestres)
 評判(Una reputación)
 物語歌謡(Corrido)
 下手な修理をした靴職人への手紙(Carta a un zapatero que compuso mal unos zapatos)

非常にボリュームはありますが、一編長くても見開き4,5ページとかなので、細切れで読めます!
イソップ童話や聖書が基になっている話もあるので、馴染みがなく難しいと感じるものもありました。

全体的にとにかく不思議な話が多いと言うのが率直な感想で、あまり理解できないものもありました。
リアリズムを放棄したと言われる所以なのでしょうか。
それか私がショートショートにあまり馴染みがなかったのでこのように感じたのかもしれませんね。

上で少しふれたアレオラの書き方なんかも感じ取るのに最適の一冊です!

 

日本語だと翻訳チックで読みにくいと感じる人もいると思います。
翻訳が好みでない方はスペイン語をおすすめします!

 

全て書くことはできませんが、代表作と言われている「転轍手」について私の主観も含めて少し書いていこうと思います。

転轍手(El guardagujas)

あらすじ

駅にいるある外国人がT.に行きたいと老人の元転轍手に伝え、その後あまり噛み合っていないユーモアのある会話が展開される。

老人によると、列車はいつ来るかもわからないし、どこに向かうかもわからない。長い間乗るため、列車には霊安車、監獄車なども連結されている。線路は一本しかないなど、とにかく不思議な話をする。

列車が駅に向かってきて、老人は外国人に行き先を尋ねるとXに行くと言う。

朝日が出てくる頃,汽笛の音が聞こえる。老人は飛び上がって,カンテラを手にかざして駆けだしていき、物語は終わる。

私の書き方が拙いのもありますが、短いということもあり何の説明もされないので、一人一人読んだ後の感想は違うと思います。

実はこの話は数年前にも大学の授業で読んだことがありました。
その時はメキシコにも文学にも興味がなかったので、授業の課題だと思って取り組んでいたのですが、数年経つとまた違った視点から話が見えるようになりますね!

素直にこの話の二人の登場人物の掛け合いが結構面白いと思いました。

個人の意見としては、この列車の着想はメキシコならではなのかなと思いました。
メキシコにはバスとか時刻表なかったりしますし、バス停に名前がなかったりもします。日本とは違いますね。

また、転轍手とわざわざ書かれているので、なぜかを考えてみると、
最後のシーンで外国人が行き先を変えたと考えると、その人にとって転轍手だったのかもとも思いました。

カフカがこの作品に影響を与えたとも考えられています。
主人公たちに名前がないこと、曖昧性、語りの構造、この辺りにカフカと似たものを感じている専門家もいるみたいです。
私は恥ずかしながらカフカの作品を読んだことがないので、いずれ読んでみてその時にどう思うかが楽しみです。(アレオラが先でカフカが後になる人は珍しいのでしょうが。)

まとめ

いかがだったでしょうか。

ぜひ興味の出た方は購入してみてください!

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DELE用に全レベルの参考書・文法書・単語帳をまとめた記事があるのでぜひこちらからご覧ください!!

参考文献

内田兆史(2014).『フアン・ホセ・アレオラの「転轍手」』.明治大学教養論集.

http://hdl.handle.net/10291/18393

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