多分メキシコについてあまり知らない人の中には
メキシコって何語を話すの?
という疑問を持つ人も少なくないかなと思います。
一つ言語あげるとすればそれはスペイン語です。
メキシコ国内で一番話されている言語がスペイン語だからです。
しかし実は一言語ではないのです。
メキシコには先住民言語があるんです!!
メキシコ政府によるとその数なんと68言語。
そこで今回はメキシコで話されているスペイン語と先住民言語について解説していきたいと思います。
スペイン語
まずはスペイン語について書いていきたいと思います。
まず押さえておいて欲しいのは、メキシコの多くの人の母語はスペイン語です。
メキシコ人の96.8%はスペイン語話者です。
メキシコの人口は約1億2300万人で、うちスペイン語話者は約1億1900万人です。(2017年データ)
もちろん勉強している人は英語などを話すことができますが、基本的にはスペイン語です。
なので観光地以外では英語が通じないことが多いので気をつけてください。
ではなんでメキシコではスペイン語が話されているか、ご存知ですか?
歴史を知っている方は即答できるかなと思います。
それはメキシコがスペインの植民地にされていた時代があったからです。
大航海時代にヨーロッパの人たちが新大陸にやってきて、征服していきました。
スペインのエルナン・コルテスという人物をご存知でしょうか。
この人物が中心となってアステカ帝国を滅ぼしたという歴史があります。
最後に基本的なスペイン語をまとめたいと思います。
発音はカタカナで完璧に表すことができないので参考程度にお願いします。
日本語 | スペイン語 | 発音 |
---|---|---|
こんにちは | Hola | オラ |
ありがとう | Gracias | グラシアス |
さようなら | Adiós | アディオス |
はい | Sí | シ |
いいえ | No | ノ |
先住民言語
メキシコ国内のスペイン語以外の話者は3.2%いることになります。
その人たちはどの言語を話しているかというと、先住民言語を話しています。
メキシコ政府によると、先住民言語は68言語あります。
また、約2500万人の先住民がいて、約700万人が先住民言語を話しています。
UNESCOでは、メキシコには143もの言語が消滅危機にあると指定されています。
ここでは少数ですが、いくつかピックアップしていきたいと思います。
言語名 | 話者数(2015) | 主な地域 |
---|---|---|
ナワトル語 nāhuatl | 2,690,089 | メキシコ州、プエブラ州、 ベラクルス州、イダルゴ州など |
マヤ語 Maaya T’aan | 859,607 | ユカタン州、キンタナ・ロー州、 カンペチェ州など |
ミシュテカ語 Mixteco | 517,665 | オアハカ州、メキシコ州、 ゲレーロ州 |
ツェルタル語 Tzeltal | 556,720 | チアパス州 |
サポテコ語 Zapoteco | 479,474 | オアハカ州、プエブラ州、 ゲレーロ州 |
ツォツィル語 Tzotzil | 487,898 | チアパス州 |
オトミー語 Otomí | 307,928 | メキシコ州、プエブラ州、 ベラクルス州、イダルゴ州、 ケレタロ州、グアナファト州など |
トトナコ語 Totonaco | 267,635 | ベラクルス州、プエブラ州 |
マサテコ語 Mazateco | 239,078 | オアハカ州、プエブラ州、 ベラクルス州 |
チョル語 Chol | 251,809 | チアパス州、タバスコ州 |
いくつか聞いたことのある言語もあるのではないでしょうか。
次に話されている地域を地図でみていきましょう。
他にもたくさん言語があるので一概には言えませんが、南側に話者の多い言語の先住民が集まっていることが分かります。
スペイン語への影響
実はスペイン語にも影響があります。
例えば、アボカドの意味を持つaguacateという単語はナワトル語のāhuacatlからきているそうです。
他にもchocolate(チョコレート), chicle(ガム)など探してみると先住民言語由来のスペイン語はたくさんあります。
ぜひ調べてみてください!
先住民文化に触れよう!
タラウマラ族に関する記事がありますのでこちらからどうぞ!
先住民文化に興味のある方はぜひこちらに出向いてみてはいかがでしょうか。
ツアーなどもありますので興味がある方はぜひ!
実際に私はツアーでサポテコ族の方が編み物をしている現場に案内してもらいました。
染料の説明を受けたり、実際に編み物をしているところも見せてもらいました。
確か7歳位の子供も一緒に編んでいて小さい時から仕事をする教育を受けています。
スペイン語を話す環境にないので、スペイン語を話すことができる人も少なかったです。
言語の多様性がある一方で、言語の問題があるのも事実です。
先住民文化の差別
メキシコには人種差別がないという人もいますが、果たしてそうでしょうか。
こちらはミヘー語でスピーチが行われた動画です。
メキシコの中で行われていた先住民差別について語られました。
メキシコはスペイン語だけではない、先住民言語もある。
しかし先住民たちは差別を受けていると気づかせてもらった動画で、この記事を書くきっかけにもなりました。
遡るとやはりコルテスたちが侵略してきた時から始まりますが、それから今まで、先住民たちは苦労してきています。
それ以来スペイン語だけが有利になるようにし、先住民言語は無価値にされてしましました。
「私たちの言語は消えていくのではなく消されていこうとしているのです。」この言葉に胸打たれました。
言語だけでなく、文化そのものが脅かされています。
上に記述した編み物も、彼ら特有のものです。
もしその文化がなくなったらそういった製品ももうなくなってしまうかもしれません。
2017年のINEGIのアンケートでも、40%の先住民たちが先住民であることを理由に差別された経験があると語っています。
また、UNICEFによると、先住民の子供たちの大半は貧困生活を強いられています。
小学校卒業レベル以上の教育を受けられていない人も多いようです。
この連鎖からなかなか脱却できずに苦しんでいる人がいるのは想像に難くないでしょう。
それでも人権活動家が立ち上がろうとしていました。
しかし2006年から2009年の間に、人権擁護活動家に対する128件もの人権侵害が報告されています。
なかなか改善しようとしても上手くいっていないのが現状です。
2019年にはノーベル平和賞のサミットがカンクンで行われました。
平和に関する式典がメキシコで行われたことに意味があり、多くの方が平和や共生とは何かを考える機会が設けられたのではないかと思います。
先住民文化との共生
現在は先住民言語の保護運動が盛んになってきていて、少しずつ共生の方向に進んでいます。
遺跡などに行けばそこの民族の言葉で書かれていることもあります。
これはその言語を理解する人のため、そして他の方に知ってもらうためかもしれません。
また、オアハカなどでは先住民言語とスペイン語のバイリンガル教育があるそうですが、高等教育はスペイン語で行われることが多いので、スペイン語に力を入れざるを得ない状況もありそうです。
現在メキシコは新型コロナウイルスで大変な状況ですが、スペイン語を読めない方たちに向けてもしっかり翻訳版のガイドを作り、情報の普及に努めています。
徐々にこの保全活動が広まっていって欲しいと思います。
スパングリッシュ
こちらは言語とよんでいいのか分かりませんが、
アメリカとの国境付近では英語とスペイン語が混ざった言語「スパングリッシュ」が話されています。
こちらについては以前書きましたのでこちらをご覧ください!
まとめ
いかがだったでしょうか。
メキシコはスペイン語だけだと思っていた方が新たな気付きを得られたら幸いです。
また、同じスペイン語でもメキシコのスペイン語は他のものと少し異なります。
DELE用に全レベルの参考書・文法書・単語帳をまとめた記事があるのでぜひこちらからご覧ください!!
メキシコについて詳しくなるための本も紹介しています。ぜひご覧ください!
メキシコ文学ランキングの記事もあるのでこちらもご覧ください!
ぜひこちらの記事もご覧になってください!
参考文献
https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/minority/minority_mexico.html
https://cvc.cervantes.es/lengua/espanol_lengua_viva/pdf/espanol_lengua_viva_2017.pdf
https://www.gob.mx/cultura/articulos/lenguas-indigenas?idiom=es
http://www.unesco.org/languages-atlas/index.php?hl=es&page=atlasmap&cc2=LV
私も最初はメキシコとアメリカは距離が近いから、メキシコ人は英語を話せるだろうと思っていたのですが、そんなに甘くはありませんでした、、、